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アニメ版『スクールランブル』まとめ

 基本的にネタバレ無しで。
 最終回は、畳みかけるようなどんでん返しの連続に笑わされっぱなし。
 ED後のオチの付け方で一瞬「あ、逃げたかも」と思ってしまいましたがオチ後の二重オチでまた評価が回復しました。ここまでやられたら全て許せる! 「反則」は一回だけやるとただの反則ですが、徹底すれば立派な芸になるという良い見本ですね。
 ちなみに最終話のネタは、初期段階から仕込まれてたみたいなんですよね。それはOPのワンカットを観れば窺えると思います。お茶を濁したというよりも、もう、完全な確信犯。


 で、アニメ版はですね、とにかくディレクティングのセンスが光っていて好きでしたね。特にBG(背景)と効果音、音楽の使い方が良かった。
 BGが巧いっていうのは、基本的にこのアニメは「原作のコマの構図はできるだけいじらずにそのままレイアウトとして流用する」というスタンスで作られてるんですが*1、原作の絵は「背景が白い」のが特徴でもあるので、そこをイメージBGや効果音でフォローする必要があった。その時の背景選びなんかが、地味にセンス良かったですね。
 効果音の使い方は、なんだか『CITY HUNTER』や『美味しんぼ』、『YAWARA!』あたり(昭和と平成の間くらいの時代)の「読売テレビ日本テレビ)系TVアニメ」の臭いがして仕方なかったんですが、同じ感触を覚えた人は居るかなあ。播磨が落ち込んだ時の効果音とか、ああいうのですよ。トゥーン、トゥーン……、っていう、ホラ、ああいう(文字で書いても伝わりませんが)。
 また、スクランはアニメだけでなくミニアルバムに収録されているイメージソングもいい曲が多いんですが*2、それも丁度「昭和と平成の間くらいの時代に流行ったタイアップ曲やキャラソン」を彷彿とさせる曲が多くてかなり気に入ってますね。小倉優子のEDテーマ自体も昭和センスですし。
 まぁ、音楽担当がベテランである大森俊之だったのも、気に入った理由のひとつかもしれません。


 演出面では、アニメ的なキャラクター芝居の合間にさりげなく静物(清涼飲料水の缶とか)を挟んで映像にリアリティを持ち込む手法なんかが、例えばそんな細かい配慮が丁寧に行われていて、気持ちよく観続けることができました。まぁ、時々物足りない所(タメのタイミングの取り方など)はありましたけど、トータルのアドバンテージで見ればオッケーでしょう。
 あぁ、後、作画面で誉め所を作るのはあんまり好きじゃないんですけど、渡辺はじめさんのキャラデザインは非常に良くて、これは観てるだけで嬉しくなってましたね(←これは『カレイドスター』のキャラデと同じ人だから、ってだからですが)。


 最後に総括として、25話の時点での感想をmixi日記に書いていたので、そこから抜粋してみます。

 今期は結局、この番組だけが残ったなあ。アニメ化に向いた素材だったからでもあるだろうけど、そう考えると、小林尽はつくづく天運に恵まれてるよなあ。
 原作の陽性の部分だけを抜き出したディレクティングは素晴らしかった。
 「原作の陽性の部分だけを抜き出した」っていうのがミソなんだけど、このアニメは一見原作に忠実に作っているように見えて、実はこういうオチに収束するような世界観を初期から練り上げて作っていたってことで、それが偉いんだよな。
 原作の『School Rumble』のタッチは、もう少し現実寄りに傾いてるもの。

 原作付きアニメの制作において一番大事なのは、そういった「雰囲気や世界観の統制」であって、それを決定付けるのが監督のディレクティングという作業だと思います。この結果によって高松信司監督の株も上がろうというもの。
 他にも、番組をABCの3パートに分け、アヴァンやED開けの時間をもフルに活用した上、それぞれのパートの時間配分も内容に合わせてフレキシブルに変化させてみたり(局側が良く許可してくれたよなぁ)、自然なCGの使い方を積極的に模索してみたりと、新しいTVアニメの形式を推し量るサンプルとしても非常に重要な位置に残るシリーズだったのではないかと思います。高く評価したいです。

スクールランブル Vol.1
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*1:原作のコマ割り自体が、長方形のスマートなコマで多く構築されているからこそできる芸当でもある

*2:一部楽曲がアニメでも挿入歌として使われている。周防実琴沢近愛理が個人的に好きかな