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『けいおん!!』第20話と、最終回っぽさ(最終回でなさ)について

 『けいおん!!』の第20話「またまた学園祭!」を観ました。
 けいおんは、それほど熱中して観ているアニメでもないのですが、うまいなあ、と感じた回でした。
 強調されているのは、「いま、この時」の楽しさや輝きは二度と再現することができない、というインプロヴィゼーション(一回性)。メンバー間に学年差のあることが「この日常」の断絶を予感させ、今のモラトリアムに継続性があるわけじゃないということを、余計に浮き彫りにする。


 考えてみれば、部活が無くても音楽活動は可能なはず。だから、「高校の部活動」と「五人一緒のメンバーであること」は本来べつの問題のはずなんですが、「進級によって(学生としては)離ればなれになる」という断絶点を一度想像してしまうと、「高校生として一緒のメンバーであること」の意味や価値が再認識されてくる。
 ひいては「いま高校生として」過ごしている日常がどれだけ特別なのか、ってことも光り輝いてくる、というわけ。


 日常アニメとして作品を形作りつつ、「一回性のアニメ」にする手法。
 「日常」っていうのは本当は一度かぎりのものですから、永遠に続かないものとしてそれを描く、というのは作品作りとしては自然な流れです。
 まぁこういうアニメが出れば、一回性の日常ではなく「永遠の日常」が見たい、っていう欲求がそこからまた生まれてくるんでしょうけど。
 時間の流れるタイプのストーリー四コマと、時間の流れない四コマの関係が常にあるように、ぐるぐるカウンターが繰り返されるテーマでしょうね。


 ところで梓の存在はまさに、音楽用語の意味での不協和音(ヘタすればカコフォニー)なので、最後までに帳尻を合わせないと「曲が終わらない」んでしょうね。

古典的な音楽理論では、不協和音とは「不安定」な状態であり、「安定」した協和音への解決が必要だとされる。


協和音と不協和音 - Wikipedia

テンションとは、音楽において聴いている者に解決や安定を期待させるような音を指す。例えば不協和音などは協和音へと移行する可能性がある。


テンション (音楽) - Wikipedia


 だから第20話は盛り上がりのピークではあっても、Bメロのサビみたいなもので、必要なアウトロがまだ用意できていない、って言えますね。

TVアニメ「けいおん! ! 」劇中歌  ごはんはおかず/U&ITVアニメ「けいおん! ! 」劇中歌 ごはんはおかず/U&I
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