『ふたりはプリキュア』第35話「これってデート?怒涛のハッピーバースデー」
第33話以降、期待を下回らないクオリティが続いていて面白い。まぁ、流石にまだ「期待を上回る」という表現は使いませんが。
日常描写──というより、なぎさのキャラクター性を周辺から掘り下げることからくる面白さでしょうね。お話の制約(変身やバトルなどのノルマ)をクリアしつつ、キャラクターを描くといった方法論が従来に比べて格段に進歩していると思います。
これは前回から指摘していることですが、レギュラーキャラとしてのポルンがガジェット化/パターン化されたことによる効果が大きいのでしょう。ポルンの予知能力はパターン化されることで異なるスタッフの間でも共有できる手法となり、その為各話のアベレージが維持されているのだと考えていいと思います(今までは各話の担当作家の裁量に頼った部分が大きかったと思う)。また、『ふたりはプリキュア』の制約のひとつである「敵が現れた時には何故かふたり一緒でなければならない」の理由付けを簡単に省略できるという効果があることも今回解ったことです。
で、肝心の話の内容ですが。女の子社会で育ってきたなぎさが男の子を知る話、でありながらも結局ほのか(=女の子)に頼りまくりという話でもあり。支倉くんは相手の都合を全然考えずに話をするあたり、戯画化された「女の子から見た男の子」してて笑えます。
オチは結局お互いの気持ちが偶然すれ違うというだけで、「相手をふる」というジレンマ──「恋愛劇」を演じさせずに回避させるあたりが低年齢向け少女漫画っぽいですね。第18話*1で修羅場を演じさせられた時と比べるとエラい落差がありますけど。
それに今回は「支倉くんの目の前で変身するわけにもいかないし」という台詞が出てきたのも重要。ようやく変身ヒーローもののジレンマに踏み込んでくれたというか。しかしここでも「ヒーロー劇」は前触れ程度に留まっていて、決定的なジレンマは回避されています。*2
こういうジレンマの回避の仕方もうまくなってますね。第12話*3や第14話*4や第16話*5の時ように、「前触れ」部分のフォローに失敗して伏線が凄い勢いで空回りする、という現象も起こっていませんし。
前回の友華先輩や今回の支倉くんは「その回の登場で完結してるけど展開次第でまた出てこれるキャラ」にちゃんとなってると思います。
ところで女子の前では大股開きなのに男子の前では脚を閉じてるなぎさの描き分けには妙なリアリティがあります。女子校の生徒らしい。
それにしても最近ぼくも東映さんの作画スタイルにすっかり慣れてしまって、キャラクターの絵がどれだけキャラ表から離れようが「味」として楽しめるようになってきました。作画監督の名前も結構覚えてきたし。なるほど東映アニメはこうやって観るものなのだな(今更)。