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今野緒雪・ひびき玲音 with山百合会『マリア様がみてる プレミアムブック』(ISBN:4086004550)

 アニメ版のスチールと設定資料、出演声優の対談、ひびき玲音のアフレコレポート+ショートコミック、今野緒雪の書き下ろし短編+あとがきを付けたファンブック。
 資料見てて思ったんですが、ぼくがアニメ版のキャラ作画に違和感を感じていた理由が分かりました。瞳に入ってる光点の数が、資料と本編で違うんだ。*1「瞳の中の書き込みはそのキャラの自意識の強さを表している」みたいな分析をしてたのは夏目房之介さんだったかな。重要なシーンで瞳がキラキラするのはいいんですが、なんでもない場面でもキラキラされると自意識が表面に出すぎていて、ぼくはそれがちょっと苦手なようです。

  • 書き下ろし短編「Answer」

 蓉子と祥子の馴れ初め話。
 これは面白い、というか、こういう話にも「言葉のトリック」やどんでん返しの「オチ」を用意してしまうあたり、やはり今野さんは(もちろん感性的な面でも書いてる一方で)「技巧」で書くタイプの作家なんだなあ、と改めて感心しました。逆に言うと、小説を書くという行為に対して「律儀な人」とも言えるかもしれませんが。「チャオ・ソレッラ!」なんかもあーいう話ですけど、一応トリックや象徴の二重化なんかが込められてたわけですしね。
 ちなみに肝心な元の発言を引用するとこんな感じ。

「でしょう? 息が詰まっちゃいそう。だから、私が全部やめさせたの。やめざるを得なくした、ってところかしら? 妹にして、山百合会の雑用に引っ張り回しちゃったから」
──今野緒雪マリア様がみてる』p117

 ううむ、叙述トリックとしてはちょっとアンフェア、かな。アリではありますが。
 お話としては蓉子視点なんですが、祥子の感情を想像するのが楽しい話ですね。先代紅薔薇さまは(比較的)等身大の女子高生として描かれている気もしました。

*1:アニメ本編では瞳の中心に小さな光点が点いてることが多い