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『ふたりはプリキュア』第10話「ほのか炸裂!素敵な誕生日」

 とても面白かった。シリーズの底力を再評価したくなるほど。
 まず技巧的なレイアウトが成功していて、演出力は充分。
 ゲキドラーゴの扱い方もうまい。敵サイドの事情をしつこく語っていたピーサードに対して無口なゲキドラーゴはその分自己主張が少なく、ヒロインサイドを描くエピソードに適したキャラなんでしょう。
 で、そのヒロインサイドのドラマなんですが、見所はいくつかあります。

  • 冒頭からいきなり仲がいい。もう自宅に遊びに行くのが普通になってるのか(口実はメップルの為なんだろうけど)
  • 今回の対比:一年分溜まった愛情を一年分のプレゼントで表現するほのかの両親と、お小遣いの前借りをさせない(コンスタントに愛情を与える)なぎさの母親
  • ほのかの誕生日にプレゼントを送ろうとし、また、家族団欒の邪魔をしないよう気配りするなぎさ。本当にこの人は良くできた人間だなあと思う
  • 相変わらずメップルは異性間恋愛至上主義者なのだが(冒頭参照)、ほのかへのプレゼントにアドバイスする辺り、ここにも異性愛と同性間友情の重なりを発見していいかもしれない
  • でもシルバーアクセの作り方を教えた友達は、その用途を想像するに内心穏やかじゃない気がするな

 特にうまく描けているのはほのかの心理面で、直接台詞で表現していない分、後味のいい話になっています。
 今回は、ほのかが自分の思想に初めて疑問や不信を抱いたであろうエピソードであって、その思想のほころびを目の前の強盗達が体現している。ほのか自身がひどく恵まれた境遇に居るのは確かだし「ロジックで誤魔化せない境遇の差」も間違いなく存在する。この事実を突きつけられた時にほのかの思想は崩壊してしまうのだけれど、しかしそれでも強盗達はほのかの言い分を肯定してくれるし、家族や友達も今までと変わりなく、自分を幸福にしてくれると。勿論、先程感じた矛盾点は彼女自身が認め、その思想を向上させなきゃいけない。
 良く出来た成長話でしょう、これは。
 うんちく女王、姐さん、と呼ばれて周囲に持ち上げられつつ説教もしつつ、でも周囲の人達に支えられて教えられて、というのがほのかのキャラクターなんでしょうね。


 次回予告の後に、視聴者プレゼントのおしらせが。本名陽子とゆかなの声はかなり子供番組の板についてきていて、そのお姉さん的な喋り方が調子出てます。
 ヒロインふたりのキャラクターがかなり固まってきたおかげで、次回以降は、主役と脇役の絡みがメインになってきそうですね。まずは弟に期待。