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荒木飛呂彦の描く「悪」の原点/荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』22巻

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荒木 飛呂彦

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 SBR最新刊の感想です。
 バレンタイン大統領ッ!な巻ですが、そういえばジョジョ第三部は『バビル2世』における「砂漠に立った学ランの少年」というビジュアルからイメージを得ているそうで、


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  • どうして承太郎を学ランにしようと思ったのか?

 何度も言ってますけど、やはり『バビル2世』のイメージが強い。学生服で砂漠に立ってるというインパクト。今考えても、『バビル2世』のあのコマはすごい。もしあの絵をリトグラフとかで売ってるんだったら、ぜひとも部屋に飾りたいですね。日常と非日常が同時に存在している、というところがいいんですよ。

http://www.remus.dti.ne.jp/~atsu-c/Comment/remix11.html


……荒木先生の原点が横山光輝の『バビル2世』だというのは頷ける話で、バレンタイン大統領は立派な大義名分を持った「世界を支配させたくなる悪役」という意味でヨミ様の後継なんだなと感じます。
 DIOやカーズ、ディアボロがエゴイスト然とした「悪」で、プッチ神父が狂信者的な「悪」だったとすると、政治家としてのバレンタインは一番ヨミ様の「悪役像」に近いんですよね。


 22巻の作者近況で語られているように、「何が善で何が悪なのか答えは出ない(けど、どこかで決着はつけないといけない)」という相対的なテーマも、実に「横山光輝」な考え方ですしね。


 しかし、ヨミ様がたくらんだのは「世界の統治」なのに対して、バレンタイン大統領は「自分の国家」しか救おうと考えないあたりがさすが近代の世界観。
 まだ世界大戦も経験してない時代が舞台ですから、スケールも当時の世界サイズということなんでしょうか。
 そういう、(プッチ神父のように)人間の想像を超えた大理想を掲げたりしないあたりも、バレンタイン大統領の魅力になっている気がします。