先週をおさらいしながら読む今週のスクラン(♯212,213)
上ふたつの記事の続きとしてどうぞ。
さて今週の話は、「先週までの時点で暗示されていたこと」をそのまま利用したエピソードになっていると思います。
その先週と言いますと、
この「天満を見る沢近の表情」をどう読むか? というのが大きな問題になってきます(作中では何の説明も無し!)。
ぼくがまっさきに連想したのは、♯205のココ↓でした。
私に魅力が ないってこと? ありえない!!
ハッキリ言って 見た目も中身も 天満より断然 私の方が上じゃない!!*1
多分、沢近の心の中では、この時まで気持ちが遡ってるんですよね。
更にその前にも、
「自分に無くて、天満にある(播磨を惹きつけられる)要素ってなんだろう」
って考え込むわけですが……(♯203)。
その時点では、「ドジでアホなところ」という仮の答えで自分を納得させていた所に、「本当の答えが見つかった」という――。
つまり、天満の「女友達に好かれる才能」を、「男(播磨)にも好かれる要素」としても認識できていなかった所に沢近の転落劇があったと思うのですが、先々週と先週で「天満の魅力」を思い知らされたわけですよね。
そして、その沢近が素直に頭を働かせば「播磨にも好かれる充分な理由」として「天満の魅力」を受け入れられるわけで。
「自分並のいい女」でなければ恋敵にはなりえない、なんていうプライドの高い思考をしていた沢近が、天満を「いい女」だとやっと認めることができて、かつて「女としては自分より下」だと思っていたことを心の中で悔いつつも謝罪している表情なんじゃないかと。どうですかね?
しかし、そういった葛藤が「沢近の心の中だけで解決してしまう」*2というのが凄いですが。沢近、一言も天満に謝ってませんからね(笑)。*3
その分、天満への負い目や借りの感情も積み重ねられて、余計に天満に対して甘くなりもする……という関係性がスクランらしい所なのですが、まぁタチが悪いですね(笑)。沢近萌えの友人はむしろ「ますます萌えるようになった」と言ってましたが。
それにしても、なんとなく目は笑っているのに、眉はひそめてて口は引き締められているという、なんとも表現しづらい複雑な表情ですね。無言だし。
これをラストのコマに持ってこれる小林尽は度胸あるなぁと。
結局どこまで気付けたのか?
で、その「答え」に辿り着くことができた沢近がもう少し物分かりが良ければ、八雲の「エビが好きなんです」っていう言葉にも辿り着ける筈なんですよね。
…いいえ
まだ 気がつかないん ですか?
播磨さんは… エビが 好きなんです
もし、うまく沢近の頭の中で「エビが好きなんです」に繋がってたなら、「ああ、播磨は天満のこういう所が好きなのか」って理解するカタチでしょうね。
もしかして… ってのなら あるけど
きいてない
今週のこのシーンでも沢近は無言ですが、頭の中にあるのは多分その「理解」でしょう(と思いますが)。
更に言うと沢近は「播磨に天満が好かれる理由」と一緒に「八雲が天満を尊敬している理由」も今回認識させられたと思うので、「八雲に対する理解」も少しは深まっている筈じゃないか、という気もします。
表面上はあまり進展が無いように見える沢近と八雲の関係ですが、今後のキーになってくるのは、この理解の有無かもしれません。
ちなみに八雲の主観では、「自分にとっての天満の魅力」と「播磨にとっての天満の魅力」をイコールにして認識してるっぽい所があって、だからこそ「播磨は天満が好き」という構図にも疑問を挟まなかった、というのが沢近との違いだったんでしょう。
「人間的魅力」と「女としての魅力」を完全に別物として考えていたあたりが、恋愛願望の強い沢近らしくはあります。
「一番大切」から「どっちもハズさない」へ
そういう♯212から♯213への流れなのですが、先々週の「一番大切」発言が効いた形で、沢近の中での優先順位が「天満>播磨」になっていることがはっきり本人の口から言葉にされます。
これに対して高野は「ボウリングのスプリット処理」を「友情と恋愛の両天秤」にひっかけて、
どっちも。ハズさない…
私は 欲張りな女
……という言葉を投げかけ、ほぼ戦線離脱宣言を出していたも同然の沢近を、再び戦地へと誘導させるわけですが。
ここらへんの会話劇はうまいですね。絶対わざと言ってる高野。
いや、もう一度戦いに赴くのはいいんですが、それは負け戦だってさっき理解してたんじゃないの? と読者も思うような所で次週へ。