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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

『SPIRIT』

 面白かったですが、日本公開版(つまり『霍元甲/FEARLESS』ではなく『SPIRIT』)はカット部分があるらしいわ、EDテーマは差し替えられてるわと問題の多い公開だったみたいです。
 相変わらず、配給会社はネットの反響をナメすぎています。海賊版が売れるだけだと思うんですが。


 ジェット先生は『THE ONE』、『HERO』と一貫して同じテーマをずっとやってると思います。今作も本質的には『HERO』まんまですね。強さを積み上げて集約させる段階(陽性で男性原理)と、そのシステムを解きほぐして拡散させる段階(陰性で女性原理)に別れるという。
 茶道と武道をかけた問答(「物事は全て主観によって決まる相対的なものであって、優劣など無い」という主張)も、非常に東洋的。ジェット自身はブッディストですが、こと映画に関しては道家儒家的な陰陽思想に依存している所が大きい気がします。そこらへんも中国人らしいと言えばらしい。
 アクション的にはあんまりエンタメしてない(「生身の人間にこんな動きができるんだ! スッゲー」という新鮮な驚きは少ない)ので、ジェット・リーの姿勢の良さや品格を感じに行く映画かと。観賞後、気分がキッと引き締まって背筋が伸びること請け合いです。


 中村獅童の演技に関しては、プロモーション以上の必然性はあまり感じませんでした。役を演じきった名演ではあるけれど。
 また、演出的な説得力(動機部分の描き込み)には弱さを少し感じました。これはノーカット版を観ないと判断できないかも。そんなだから海賊版が(略