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映画『トム・ヤム・クン!』(トニー・ジャー主演)

 感想。


「ここまでプロパガンダに徹した映画はなかなか観れるものではないと思いました。タイの象をいじめたら、ムエタイ戦士に関節を折られる、という一点のみを痛烈に伝えてくる映画でした。今回のジャーが用いるムエタイは、どう見たってオーバーキル気味の暴力なのですが、その暴力の正当性を支えるものとして象をいじめた仕返し以上のロジックが全く見当たらないだけでなく、一切のためらいも無いのが素晴らしいです。敵役は一応悪の組織でしたが、多分、別に悪の組織じゃなくてもジャーは容赦せずに関節を折りまくっていたと思います。あと、海賊版を買ったら彼女に怒鳴られます。眺めていてスカッとする程のプロパガンダです(笑)」


 はい、期待に応える面白さでした。打撃技のレパートリーだけで頑張っていた『マッハ!!!!!!!!』とは異なり、投げや関節などのアクションを加えることで「技のネタ切れ」を避けたのは上手いな、と素直に感心しました。
 ジャーの手足に吸い込まれるようにして、次々と関節を折り曲げられていくエキストラの皆さんが壮観です。