連載中の『School Rumble』を取り巻く事情のまとめ
リアルタイムで連載に付き合っている読者の間からは「もう、そろそろ長いよ」と印象論で語られることが多くなったように思えるスクランですが、印象ではなく、客観的に環境情報を整理することで判断材料を用意してみることにします。
アニメタイアップ問題
まず、アニメ第二期『スクールランブル二学期』が4月2日から放送される(全何話かは不明)ことが、本誌連載に大きな影響を与えていると思われます。
商業作品のカルマといった所ですが、商業作品は無為自然に展開して無為自然に終わるものではなく、外部の要素と協調しながら連載の仕方を変えていくのが常です。今回の場合は、要するにアニメ番組とのタイアップです。
アニメとのタイアップとしては、
- 12巻の発売日(4月17日発売)を、アニメの放送開始日(4月2日)の月に合わせる?
- 放送期間と合わせた連載の引き延ばし
- 原作者サイドとアニメスタッフの打ち合わせ
などが実際に行われていると考えられます。具体的にはアニメの企画進行を理由にして、マガジン8号から11号(♯161〜165)の間、減ページが行われています(普段は12頁の所を8頁に)。
単行本の収録話数問題
スクランの単行本は三ヶ月おきに発行されていたのですが、今回は何故か一ヶ月遅れになっています。
ファンブックである『School Rumble TREASURE FILE』の発売日が3月17日なんですが、これは12巻の発売日を通常より一ヶ月遅らせている分、その合間を補うのを意図したものか、あるいは逆に、ファンブックを出す為に12巻の発売日がズラされたかのどちらかなんでしょう。
最新刊である11巻は本編が♯140、増刊号が♭32で終わっており、現在の連載は♯169、♭36まで話数が進んでいます。
スクランの場合、単行本は1冊あたり161〜163頁で印刷されているのが普通です。
そうすると12巻は、仮に♯141〜152までの11話分と、♭33,34の2話分を収録するとピッタリ収まる分量になります。
※♯141〜152(計144頁)+♭33,34(計16頁)+内表紙と奥付(計3頁)=総計163頁
ストーリー的には、播磨と○○がお寺に泊まった本編のエピソードと、●●が同じ場所に向かった増刊号のエピソードが丁度リンクする感じです。
しかし、ここで発覚する問題は、「13巻分のストックも実はとっくに溜まっている」という事実です。
※♯153〜165(140頁)+♭35,36(16頁)+内表紙と奥付(3頁)=158頁
おまけページか広告を3頁付ければ161頁になる分量です(ストーリー的には本編がスキー旅行、増刊号がスケートの回で終わり)。
話数や頁数の詳細は、♯141〜169までの掲載リストを作成してみたので参考にして下さい。
♯167以降、再び9頁ずつの連載ペースに戻っているのは、スケジュール的な問題以上に、「ストックが溜まりすぎたので頁量を調節している」という理由もあるんじゃないでしょうか。
それならば、いっそ休載して充電期間にすれば良さそうなものですが、アニメの放送開始までは話題性を維持しなければならないので、放送開始までは休載したくもできず、一話当たりの頁数を減らす結果になると。
関係無いかもしれませんが、減ページが始まった二月頃から、小林尽がラジオに出演する機会が妙に連続してますので(↑のリスト参照*1)、「作者のスケジュールが厳しくなったから減ページした」というより「編集部の都合による減ページで作者のスケジュールに空きが出来た」という解釈もできるかもしれません。
連載の引き延ばしについて
ファンが一番心配しているのはこれではないかと思います。
単刀直入に言うと、二年生で終わるのか? それとも三年生になっても話が続くのか? という問題です。
丁度、『ラブひな』が連載中だった頃のマガジン読者が、「ひょっとして東大に受かった後はキャンパス編が始まって延々続くんじゃないか?」と危惧していた感覚に近いんじゃないでしょうか(実際は主人公のキャンパスライフを一切描かずに完結しましたが)。
一応、スクランのテーマは表向き「三年になったら烏丸が転校してしまう」なのです。
天満はまぁバカなので、烏丸の転校問題を素で忘れていそうですが(♯140で「留年したら烏丸君と離れ離れになっちゃ───う!!」と、肝心なことを見落とした思考をしている)。ちなみに天満と烏丸は一応イイ感じになってますが、告白はまだしてないし付き合ってもいません。
んで、現在の作品内時間はバレンタインデー、つまり2月14日。
烏丸が転校する筈のタイムリミットは(カウントの設定に変化が無ければ)来年度の始業式の二日後ですから……4月の7日〜14日あたりでしょうか。二ヶ月弱の余裕が残っていることになります。
アニメが全何話なのかはまだ告知されていないのですが、普通に(大人の事情を)考えれば、原作がアニメより早く終わるということはないでしょう。アニメが終わった後も暫く続くものだと思います。
特例として考えられるのは、アニメと原作がほぼ同期して終わる(つまり、ラストの構想について原作者サイドとアニメスタッフとの間で示し合わせがある)という、美鳥の日々方式です。もしかしたらスクランも美鳥の日々のように、スタッフ間で示し合わせを行っているという可能性もあるんじゃないでしょうか。
そのアニメ自体の話数ですが、仮に1クールだとすると三ヶ月間(7月まで)、2クールだとすると六ヶ月間(10月まで)続くことになります。
スクランは、去年の10月に連載3周年に到達し、その回のカラー扉で「次に目指すは4周年!」とアオリを入れていただけに、2クールというセンも充分ありえそうな感じです。
しかし、「作品内では二ヶ月しか残り時間が無いのに、六ヶ月間も連載できるの?」と思われるかもしれません。でも2003年12月発売のマガジンで二学期の初日(9月1日)が載り、十四ヶ月後の2005年2月に出たマガジンに烏丸の誕生日(10月28日)が載ったりしているので、イベント次第では二ヶ月でも一年間連載を引っ張れることが解ります(サンプルが極端ですが)。
逆に言うと、三年生編に突入させると「時間が余りすぎて困る」という塩梅なので、「三年生編問題」はさほど心配しなくていいかもしれません。
それにしたって、完結まであと半年かかるとか言われると、待ちきれない読者が多そうですが、どうなることでしょうか……。
- 03/16追記
個人的には、「引き延ばしがかかってるんだから、つまらなくなって当然」と思うよりも、「この逆境を乗り越えてテーマを描ききったら凄いぞ」という視点で積極的に応援しています。
おまけ
余談ですが、時間軸といえば、2002年の秋に連載開始しているスクランの時代設定が、「実は2005年度の話になっている」という事実にみなさんお気付きでしょうか。♯157(麻生と管の回)で具体的に「2005年」という数字が出ており、その後トリノオリンピックのような時事ネタも平気で出るように。
つまり、スクランの物語は2005年の春からスタートしていたという……。
今まで時代を特定するような描写が無かったとはいえ、連載開始時のスクランが二年半後の未来を描いていたと知った時は腰を抜かしましたね。なにその未来日記!
- 追記
今講談社のサイトを見てみたら、小説版も4月17日に発売されるみたいですね。これの作業が減ページの理由のひとつだったのかも。
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あと関係無いですが、Amazonが2006年のスクランカレンダーを叩き売りしていたので、画集代わりに注文してみたり。
ネギまのカレンダーも安売りしてたので一緒に購入。こっちは装丁の良さで評判もいいですしね。