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いつにも増して難易度の高かった『School Rumble増刊号』♭52

  『School Rumble』における反復・対比・暗示のリストですが、♭52を更新してあります。


 実は今回は、マガスペを読んだその日に更新した後、今日また追記した部分があります。
 それこそ二十回くらいは精読して、ようやく気付いた部分なのですが……、リストを参照するより先に、まず漫研さんのチャットで「発見報告」した時のログを追って頂いた方が内容が伝わりやすいかもしれません。


 マガスペで、スクラン増刊号をすでにお読みになっている方は↓をどうぞ。

(本誌の連載とは関連の無いエピソードなので、単行本派の人も是非マガスペをチェックしてから読んでみて下さい。)

漫研チャット

GiGi >> 増刊号…深い…。

いずみの >> 増刊号は露骨にメタファー的ですよね。これは今は触れずに、本編での開示を待つべきかな、と。

いずみの >> ひょっとして、小林尽は問題の難易度をあげてきてる? と疑わなくもなかったり(笑)。

GiGi >> 増刊の話ですが、まず第一に天満の力の強さの再確認ということなんでしょうけれど

GiGi >> それにしても、p6-7の天満の心理状況が読めない。まあ、待ちの一手ですかね。それが分からないと8ページ目の笑顔の意味もわからん。つーかめっちゃ晴れやかな笑顔ですよねー…深い。


(一日経過)


いずみの >> スクラン増刊号ですが、納得のいく仮説がようやく見つかりました。

いずみの >> 「天満の影響力の再確認」というベタな受け取り方が、まず目くらましでしたね。

いずみの >> どうしても「桜の木」を、烏丸や八雲といった「天満に影響される人々」の同類として解釈しようとしてしまうんですが

いずみの >> 実は逆で、今回のエピソードは「桜の木に影響された天満」の話だと受け取ればシックリきます。

いずみの >> 反復構造を使って読むと、まず「切られることを覚悟しながらも真夏に花を咲かせた桜」と、「烏丸の転校を覚悟しながらも告白だけで満足する天満」(♯001)が重なりますね。

いずみの >> 時系列に沿って言えば、天満は、「結果がわかっていてもがんばる元気」を桜の木から受け取ることで、「烏丸への告白」も決心できた、ということになるでしょうか。夜中に起きて流した涙は、その心(?)を受け取った印でしょうね。

いずみの >> しかしこの視点が盲点だったのは、我々が天満を、(主人公補正で)強キャラ視しすぎていたからでしょうね。でも天満は、なにも生まれた頃から最強キャラではなかったんだ、と。

いずみの >> 更に、なぜ天満は「布団で寝ている時」に涙を流すのか……というと、♯001の、布団から起きて「それでいいのか私―――!?」と自問自答するシーンに繋げるためでしょうね。

いずみの >> 「いっか…寝ちゃえ…」の時に、天満は「桜の木はがんばったんだ」ということを思い出して、自分もがんばらなきゃダメだ、と思ったんでしょうね。ここで見事に、増刊号の「がんばってね!! 私もがんばる!!」の台詞に繋がります(!)。

いずみの >> そうすると、最後のコマの晴れやかな笑顔も、「桜の木との約束」や「桜の木からもらった元気」を思い出して満足している表情、と受け取れると思います。

いずみの >> …………………さて、ここまでで解釈の穴は無いかな? GiGiさんの同意が取れたら、リストに追記しようかと。>増刊号解釈

いずみの >> しかしホント難易度ガンガン上げてきてますね小林先生(笑)。

GiGi >> いずみのさん、さすがです。♯001からの引用は、気付かなかった…。

GiGi >> 現状、笑顔の意味の通る解釈は他に思いつきませんね。ただ、このシーンも含めて、このエピソードには二重三重にメタファが仕込んである感触が有ります。

いずみの >> 今回の増刊号、サンプルとして面白いのは、読者の間では「普通にいい話」としてもけっこう評判が良いらしくって、でもその上で「深読みできる濃さ」を持っていた、という所ですよね。こういうバランスが良く取れているのは、「一話完結」
である増刊号の強みかもしれません。

 こういう、作者に出されたクイズを解いていくような感覚も、スクランを読む醍醐味のひとつでしょうね。
 作中でハッキリと描写されていない分、「自分でそのキャラの心理に辿り着くことができた!」と実感できた瞬間、キャラクターへの共感度が非常に高くなるというか……。
 そもそも、スクランという作品のテーマ自体が、「わからない相手の心をわかろうとする人達の話」でもありますから、読者もまた、「キャラクターの心をわかろうとする」ことを求められるのかもしれません(だとしたら、作風とテーマが一致していることになって凄いんですけど)。


 この後、実際にリストにまとめて反映させたのが↓こちらです。
 合わせてどうぞ。

 ちなみに、KC1巻が手元に無い人は、公式サイトの第一話ページビューを読んで参照してもいいかもしれませんね。(もし今回の解釈が間違いでなければ)♯001全体の裏面となるであろうエピソードが、♭52だと思いますから。