ユリイカに漫画論書きます
以前から仄めかしていた商業原稿のお仕事なのですが、編集部から情報公開のオッケーが出ましたので告知させて頂きます。
掲載されるのは、なんと12月28日発売予定の『ユリイカ1月号 特集*マンガ批評の最前線』だったりします。すごい(自分のことながら)。
夏目房之介さんや、伊藤剛さんのブログでも話題になっているマンガ特集号ですね。
原稿依頼を受けた時に企画書も見せて頂いたんですが、殆ど「『テヅカ・イズ・デッド』出版記念号」みたいな感じでした。
それにぼくが何を書かせて頂いたかというと、今年の6月頃ネギま!で遊ぶ用に寄稿した漫画講座「ネームの文法」の、一般向け・リライト版です。
記事のタイトルは、「視線力学の基礎 読者の〈目〉が漫画に与える力」
新たに「視線力学」というキーワードを用意することで理論を再整理し、山ほどの加筆修正を施しました。書き下ろしの追加要素も多々。頁数も全部で20ページ越えてます(よくそんなに誌面を取らせてくれたもんだ……)。
事前にチェックして頂いた伊藤剛さんにも太鼓判を押してもらえて(なんでも、この記事をユリイカに推薦して下さったのも伊藤さんだそうで)、なかなか自信を持てる内容に仕上がったと思います。
是非読んでみて下さい。この号は他の企画や執筆者も豪華*1ですし、漫画好きなら間違いなく買いの一冊かと。
ユリイカ 2006年1月号 特集*マンガ批評の最前線 青土社 2005-12 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
特集*マンガ批評の最前線
■マンガ表現論の革新
キャラの近代、マンガの起源 『テヅカ・イズ・デッド』をめぐって 夏目房之介 宮本大人 伊藤剛
「キャラ/キャラクター」概念の可能性 夏目房之介 東浩紀 伊藤剛
■広がり/深まりゆくマンガ学
「日本マンガ学会」ができるまで 情報の共有へ向けて 藤本由香里
まんが表現行為について まんが教育の立場から ササキバラ・ゴウ
■クリエイターのスペキュレーション
浦沢直樹、マンガを語る 浦沢直樹 聞き手=宮本大人
キャラクターがそこにいるというマンガを あずまきよひこ 聞き手=伊藤剛
■戦後マンガ史の再構築
TOO LATE THE HERO 古沢日出夫「冒険ゴット」(一九五二〜一九五三)について 鷲谷花
アニメが先かマンガが先か アニメ=マンガ言説に関する一考察 津堅信之
「萌え」と「乙女ちっく」のあいだにあるもの、あとからくるもの ヤマダトモコ
『NANA』は7と8のドラマである 宮本大人
ヤオイ・イズ・アライヴ わかりたいあなたのための、やおいマンガ・マップ 金田淳子
■新しいマンガの読み方・描き方・語り方
デジタルマンガの現在 竹熊健太郎
マンガの「語り」を楽しみたくて 青井どり
視線力学の基礎読者の〈目〉が漫画に与える力 イズミノウユキ
■マンガの現場は今どうなっておるのか?
マンガ編集者覆面座談会 マンガ雑誌はどこへ行くのか A=週刊少年マンガ誌編集者 B=月刊少年マンガ誌編集者 C=月刊少女マンガ誌編集者 司会=伊藤剛
■資料
必読!マンガ論ブックガイド 斎藤宣彦 横井周子
余談ながら、当然『魔法先生ネギま!』の図版を多用しまくってるので(笑)、「文芸誌に赤松漫画が堂々と載ってる!」というネタとしても画期的なんじゃないでしょうか。それはそれで快挙ですよね、なんか。
あともっと余談ですけど、図版製作の一部作業を見習い雑兵さんに手伝ってもらいました。ぼくはペン入れやトレスが苦手なんで、助かりましたよ。
それにしても2005年を振り返ると、赤松健論も書いたし、萌えの入口論も書いたし、ネギ遊の監修やって、エーミッタムの編集長もやって、赤松健にインタビューまでして、と、そして最後にこういうお仕事を頂けて。
「後に残せるモノ」が多い、充実した年だったなと思います。色々な巡り合わせの幸運に感謝ですね。個人的にはもう、やりたいことはやり尽くしたくらいの感覚で、すっきりとはしますね。