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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

日記解読コーナー

 公式サイトの7月14日から20日までが一気に更新されてましたね。


 特に18日の萌え仮説は、「最近日記も休みがちだし、たまにはアクセスが伸びそうなことでもサービスで書いてみるか」的なノリが凄い。
 赤松さんの性格を把握している側からすると、「よくもまぁこんな、反論(ツッコミ)を山ほど受けそうな話題をまた……」と心配してしまう感じ。絶対思い付きだろうという(笑)。
 誤解を受けやすい書き方をしてしまうのは、珍しくもないことです。損な性格というやつです。


 個人的にぼくは「萌えって好きとか可愛いとかとどう違うの?」と問われたら「まったく同じ意味です」と答えることにしているくらいなので、こういう仮説は、ごく局所的なトリビアでしかないと最初から決めつけて解釈するようにしています。だからこの仮説が正しいとかは思わないんですが、でもかといって間違っていると思うほどでもありません。一理はあるでしょう。

萌えとエロゲー

 これを赤松健の発言として読む際に重要なのは、彼は「エロゲーをまったく遊ばない」オタクであるという点ですね。*1
 条件(1)の「性行為を伴わない」にツッコミを入れる人は沢山居ると思います。
 こういう言い回しが出てくるのは、おそらくは単に、「萌え」と「萌えエロ」を分離させて考えているからでしょう。
 「萌え」と「萌えエロ」の差違については、本田透さんがサイト上で森永卓郎氏の発言に対してコメントした言葉が示唆的なので引用します。


>実は、この自己規制こそが「萌え」の最大の特徴なのではないか。大人しくて、社会に従順で、トラブルを好まない彼らは、性的欲求を一定レベル以下に抑制することによって、身の丈にあった恋愛を仮想世界のなかで楽しんでいる。


ただし、これは間違っていますね。というか萌え=寸止めは、もう、20年も昔の話!∩( ・ω・)∩ 2次元=萌え=寸止め、3次元=現実=セックス、という二分法的発想は、エロゲーで育っていない世代の話でね('A`) 2.5次元で稼げるという発想も、そこから来てるんですよ。('A`) すでに、萌えはエロも飲み込んでしまっているのですよ!ド━(゜Д゜)━ ン !!!いまや、萌えの主流は、萌えエロ!萌エロ!∩( ・ω・)∩
森永先生には、ぜひ、メイドさんしぃし〜をプレイしていただきたいものです(つ´∀`)つ 今のオタクに(脳内では)自己抑制などかけらも無いことがお分かりいただける筈。むしろ、マインドを開放しまくっていますよ!<それが良いことはどうかはともかく(;・∀・) 脳内で開放しまくっているから、現実に対しては大人しいのではないでしょうか。('A`)

 赤松さん(1968年生)と本田さん(1969年生)は一歳しか歳が違わないんですが、エロゲーに対する認識については極端に位置するのが面白い所です(ぼくなんかは、エロゲオタの手垢が付いてない所が赤松さんの個性だと思ってますが*2)。


 でも結局は「萌えエロ」というのも「肉欲としてのセックス」を否定して「愛によるセックス」を志向するものですから(本田透電波男』やキラ×キラ特設ページ参照のこと)、赤松さんの言う「性行為の対象にはならない。性行為対象にしている者は、二次コンその他に分類」という前提はさほど間違ってはいないと思います。
 「性行為を伴わない」と書いてるだけで、「性行為とは相容れない」とは書いていないことにも注意する必要があって、赤松さんが考える「萌え」と「二次コンその他」をうまく融合させれば「萌えエロ(=愛によるセックス)」になるのだ、と考えれば言葉の辻褄は合う感じです。*3
 だから、「こういった平和的エッセンスを持つ男性も大量に存在しているのです」という結論部分だけに目を向ければ、『電波男』と共通した意見になっていたりもしますね。

萌えと女性

・最近の女性が行っている萌えは、男性の萌えの模倣であり、偽物だとは
 思います。もっとも本来の母性は彼女らこそが持っているものですから、
 むしろ本物と言うべき?

 ここの部分も(案の定)誤解を招いているようで、「最近の女性」というのを「腐女子」の意味で受け取っている人も見掛けます。当然ながら、誤解に基づいた反論を許す形になっているようです(例1例2)。
 そーではなくて、本来は男性向けの美少女キャラ──例えばシスター・プリンセスの妹なんかに萌える女性オタク達を指して言った言葉でしょう。美少女の萌え絵ばっかり描く女性絵描きさんとか、そういうのが好きな女性とか。
 というか、女性オタクの全員が腐女子ではない筈(笑)。ノーマルCPじゃなきゃダメな人とか、百合にしか萌えない人とか、男性向けエロが趣味の女性だってまぁ幅広く居るわけで。
 やおいとかBLって、全然「最近の」文化じゃないですしね。


 赤松健の『魔法先生ネギま!』の場合でも、ヒロインに激しく萌えている女性ファンは結構見掛けるものです。で、彼女達女性ファンと男性ファンのウマが合わないかといえば、結構感覚的に共通点が多いようで、話も合いますし、似たような感性を共有していると(部分的には)言っていいと思います。
 男性オタクの「模倣」をしているような印象を受ける(「押し倒してえ」「結婚しました」とか言ったりね)こともあれば、男性よりもよっぽど純粋で「本物」と感じてしまうような愛し方を垣間見ることもあります。


 あと、女の子視点の美少女萌えだと、ファッション雑誌や人気アイドルを見て憧れるような願望(同一化願望、変身願望)も要素として含まれるという説もあるようで、これは逆に男性が(女性化願望という形で)「模倣」している感覚なんじゃないかな、というフシもありますね。「少女趣味」って言った方が早いですけど。
 そういう意味ではやはり、萌えの根底には女性原理(の、一部としての母性本能)が働いているのかな、と考えなくもありません。*4


 で、彼女達女性オタクは美少女に萌えると同時に、男性キャラにも萌えたり、やおいを妄想したり百合を妄想したりといった「複数の萌え」を同時にこなせるので、その間でどういう回路が働いているのかは、よーわからんのですが(笑)。
 多分、赤松さんも「腐女子についてはよーわからん」と考えていることでしょう。
(ぼくは腐男子な人間なんでなんとなく繋がりが見えてこないこともないんですが、長くなりそうなので説明を試みるのはやめときます。)

*1:ストレートに言ってしまえば、「エロゲーで抜く習慣がない」オタクである、ということ

*2:少年誌で描いてる作家なわけだし

*3:私見的なツッコミ所はあるけど長くなるので端折ります

*4:なんで「父性愛」じゃなくて「母性愛」なんだ? という指摘もあるようだけど、ここで言っている「母性愛」は「母性本能(子育て本能)」の意味だからでしょう。逆に「父性本能」なんて、辞書にも載ってないような言葉ですし