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おすすめ脳神経科学の本、9冊

 久しぶりに買った脳神経科学の本が二冊とも面白かったので、既読の類書と一緒におすすめリストを作ってみようと思います。
 まぁ推薦というより、自分用のマッピング作業でもありますが。
 当然ながら、ぼくが読んだことの無い本をレビューすることは不可能ですので、「これも面白い」という本があればご推薦ください。

ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』

脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ
山下 篤子

角川書店 2005-07-30
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 一番最初に読むなら、間違いなくこれでしょう。一般向けに講演した内容の語り起こしなので、読みやすく、基礎的かつ「興味深いトピック」を中心に紹介されています。
 ここから専門的に知りたくなったら、ラマチャンドランとサンドラ・ブレイクスリーの共著『脳のなかの幽霊』(『ふたたび』を詳細にしたような内容です)を読めばいいのですが、詳細なことは後回しにして、とりあえず『ふたたび』だけで入門を済まし、とっとと別口の本に進むのもいいと思います。

脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)
V.S. Ramachandran

角川書店 1999-08
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アントニオ・ダマシオ『感じる脳』

感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ

ダイヤモンド社 2005-10-28
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 贔屓して言うとナンバーワンの名著。「だいじなことは全部これに書いてある」感があります。
 思想的な語りが多い本著ですが(なんせ半分がスピノザ論なので)、より科学的な理解を深めたい場合は前著『無意識の脳 自己意識の脳』に遡るといいでしょう。
 でもどっちかというと『スピノザの世界』などでスピノザ入門しておくのがいいかもしれない。

無意識の脳 自己意識の脳無意識の脳 自己意識の脳

講談社 2003-06-20
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スピノザの世界―神あるいは自然スピノザの世界―神あるいは自然

講談社 2005-04-19
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サンドラ・ブレイクスリー、マシュー・ブレイクスリー『脳の中の身体地図』

脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ
Sandra Blakeslee

インターシフト 2009-04
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 『脳のなかの幽霊』の共著者である、サイエンスライターによる最近の本。
 ラマチャンドランとダマシオの研究を知っておいてから読むといですね(2人とも推薦コメントを寄せてたりもします)。

ジュリアン・ポール・キーナン『うぬぼれる脳』

マルコ・イアコボーニ『ミラーニューロンの発見』

うぬぼれる脳―「鏡のなかの顔」と自己意識 (NHKブックス)うぬぼれる脳―「鏡のなかの顔」と自己意識 (NHKブックス)
Julian Paul Keenan

日本放送出版協会 2006-03
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ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)
Marco Iacoboni

早川書房 2009-05
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 『うぬぼれる脳』から『ミラーニューロンの発見』までで一気に「自己イメージ」や「視点取得」の問題に入ることができます。
 手前味噌ですが、ぼく(泉信行)が漫画論で展開している「視点論」の基盤になっているのが、この分野の研究だったりもします。

J・アラン・ホブソン『夢に迷う脳』

夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?
池谷 裕二

朝日出版社 2007-07-18
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 年配の脳神経科学者による本で、上記の類書とは毛色が異なるものの、面白い。
 夢や錯覚、睡眠、休息のシステムなどについて。ある意味、最も実生活に役立つ知識の得られる本だとも言えます。

ジョセフ・ルドゥー『シナプスが人格をつくる』

シナプスが人格をつくる  脳細胞から自己の総体へシナプスが人格をつくる 脳細胞から自己の総体へ
谷垣 暁美

みすず書房 2004-10-27
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 ここまで挙げた本が「脳にどんな機能があるのか」を主に研究していたことと比較すれば、「脳がどのようにして形成されるのか」を研究している本です。
 脳神経科学のトピックを理解するのに必要というほどではないものの、理解していた方が困らずに済む部分もありますね。特に、脳細胞の「氏か育ちか問題」は一度結論を知っておくといいと思います。


 以上です。
 いわゆる素人考えとして、ボディ・マップやミラーニューロンについて考えているビジョンもあるのですが、そういった話はまた日を改めて。