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『テニスの王子様』バトル漫画論

 テニプリ「スタンダードな魅力を持つバトル漫画」という視点から評した感想をネットの表面では見た覚えがないので、そうした言説状況をDisるべくワクチンを投下する用意を整えんとす。


 とりあえず、漫研さんのチャットで先週のテニプリリョーマと金太郎の一球勝負が決着する回)について語ってみたログを編集してみました。

いずみの >> ちなみに今週の一番といえばテニスの王子様ですね。

LD >> なかなか強烈でした。>「テニプリ

いずみの >> 今のジャンプで一番面白いバトル漫画だと思います。>テニプリ

LD >> 不二が怖いのもいいですね。>「テニプリ

LD >>テニプリ」の金太郎はずいぶんと前から登場していて、かなりのライバルと思わせていたわけですが、ようやくここで面目を果たしたといった感じですね。

いずみの >> テニプリがどのあたりから自覚的に「バトル漫画化」していたのかはちょっと気になる所ですね。

LD >> …え? どういう意味ですか? 僕は最初からバトル漫画として読んでいましたが、何かいずみのさんと「バトル漫画」の定義が違うのかな?

いずみの >> ああ、「スポーツ漫画 : バトル漫画」の比率(主従関係)が逆転したのはどのあたりかなー、というくらいの話です。

いずみの >> バトル漫画の定義ですが、一言で言えば「象徴化された戦い」です。

いずみの >> はじめの一歩なんかは「ボクシングによるバトルを描いている」と表現できますが、今のテニプリは「バトル化したテニスを描いてる」感じでしょう。ニュアンスが伝えにくいですが(笑)。純粋な闘争心や、「力への意志」をテーマに描いているというか。

LD >> ああ……僕のイメージは「バトル ⊃ スポーツ」なんで、なかなか難しいですね。もちろん言われる意味はわかります。まあ、当初からマムシ先輩のスネーク打ちとか、乾先輩のコンピュータテニス(今ならパラダイム?)とか、バトルぽかったという印象を持っています。

GiGi >> 無我の境地とか言い出したあたりが怪しいですわねw

LD >> いや、GiGiさん、不二先輩の三大スマッシュとか、登場時からかなり変ではありましたよw

GiGi >> いや、かなり変だったのは事実なんですがw。なんだろうな。波動球百八式とかもはやルール関係ない世界じゃんw

いずみの >> テニスという競技が「打った球を打ち返すだけ」である、という性質をバトル漫画のフォーマットに落とし込めばこうなる、と。必然的に「必殺技の応酬」だけがどんどん先鋭化して。

LD >> 何だろう「リンかけ」あたりが素材になりますかね? 日米対決編あたりまでは“わりと”まともなボクシングマンガとも言えるんですが「影道総帥」とか言い出すあたりから「ちがうっ、何かボクシングと違うっ」って感じになってきてw

いずみの >> まぁジャンプの王道なのであって、結局はそこですよね。>リンかけ

いずみの >> このみ先生は、テニプリの次回作として、鎧を着たティーンエイジャーが飛び道具でケンカする漫画を描けばヒットすると思いますね!(しない)

GiGi >> そこは今の時代だと何もつけない方向で行った方がヒットするかと(マテ

LD >> タンクトップのボロボロ肌露出ジーンズとかで闘うの?>GiGiさん

GiGi >> そうそう半裸で汗をきらきら飛び散らせながらねw

LD >> いや、今僕が再チェックしてみようかというのは「テニプリ」が正に車田マンガの最終局面、乙女座のシャカ「天魔降伏」的なわけの分からない世界への突入を感じるからですよっ(力説)

LD >> ただ同時に「テニプリ」が始まった当初は、古いジャンプ読者から「絵柄は「スラムダンク」を真似てるのに、スラムダンクのようにテニス(スポーツ)に対して真摯で無い」という批判がよく立っていて、この批判が正しいかどうかは置いておきますが、彼らが気に食わなかった部分ってのは多分正に今言われる“バトルの成分”だと思うんですよね。

いずみの >> 多分、「一対一の球技」をどう魅せるか、という点では映画版の『ピンポン』を、スポーツの強さを「単なる殺傷力」に置き換えちゃうあたりのエッセンスは『少林サッカー』あたりをリファレンスにしてるんだと思いますけど>先生

いずみの >> でもキャプ翼だって大概ですし、サッカーだと『リベロの武田』が似たようなことしてましたよね。<単なる殺傷力

GiGi >> テニスは当初からキャプ翼を継承した作品という印象はありましたね。今やまるで車田漫画ですがw

LD >> そう。タイガーシュートなんか今にも人殺しそうな勢いありましたもんw その意味で線引きというのは中々難しいと思います。偶然スイッチ部分を発見できる事もあるかもしれませんが。>いずみのさん

いずみの >> いや、ホント単純に「強いヤツを戦わせよう」という純粋な目的を持った漫画だと思いますよ、テニプリは。

いずみの >> で、それは今のジャンプ漫画の中で、最もバトル漫画として成り立っている作品です(笑)。

LD >> 要するにシンプルに串団子バトルを追求している姿勢を「テニプリ」には強く感じますね。

LD >> バトルの意識合わせができましたので、僕は同意しますが、その場合「ブリーチ」の位置づけはどんな感じなんでしょう?w>いずみのさん

いずみの >> テニプリの次にバトル漫画っぽいのがボボボーボなので……

LD >> ああ「ボーボボ」もシンプルですが、どのくらいはじけられるかとか、キャラクターに拠る部分で少し澱むかも?w

いずみの >> そうそう、ブリーチとの対比にもなるんですが、「キャラ漫画 : バトル漫画」の比重でも違いを感じるんですね。

いずみの >> ブリーチは、バトルを描くというより、キャラを描く漫画になってきてしまった。その逆にテニプリは、(腐女子向けの)キャラ漫画だと思いきや、いつの間にか面白いバトル漫画になっていた……っていうような感覚はありません?

いずみの >> 例えばブリーチで、あるキャラが勝ったとしても、もうインフレが破綻していて「強さ」が伝わってこないんですね。でもキャラクターは掘り下げられますから、キャラ漫画としては成り立つと。

GiGi >> 先週のぶりーちがなかなか象徴的で。ルキアが死んだ言われても、え?(´・ω・`)…て感じでw。すみません霊圧感知能力ないんで伝わってきませんみたいなw

いずみの >> テニプリはもう、強さの基準が直線的でわかりやすすぎて、成長の度合いが直感的に伝わる(笑)。でもこの「バトルの加熱」によって、ひょっとしたら従来のキャラ性を犠牲にしてるのかもしれませんね。

LD >> ああ、それはですね。最終到達点を「無我」とか「天衣無縫」とか、一つの価値観でかなり縛っているからですよ。

GiGi >> 百八式波動球の分かり易さは革命的ですらありましたねw

 付け加えれば、先週の時点では「キャラ漫画 : バトル漫画」という比率の逆転から「キャラ」の成分が下がっていくこと(つまりBLEACHと逆の現象)を懸念していたのですが、今週の「焼肉の王子様」でしっかりキャラ成分とカップリング成分をフォローしてくるあたり、やっぱ許斐先生はソツの無い人だな、という感心もするわけです。

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