HOME : リクィド・ファイア
 移行後のはてなブログ:izumino’s note

会議用ネームと連載用ネームを別々にしたことによる連載の成功/『進撃の巨人 OUTSIDE 攻』を読んで

進撃の巨人 OUTSIDE 攻 (KCデラックス)進撃の巨人 OUTSIDE 攻 (KCデラックス)
諫山 創

講談社 2013-09-09
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

内容紹介
幻の第一話目のネーム50数ページを一挙初公開、著者・諌山創先生ロングインタビュー、巨人世界の謎を徹底追跡、など豊富な内容で『進撃』を徹底ガイド!

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4063768732/akamatsukenro-22/ref=nosim/


 『進撃の巨人』の公式ガイドブックに掲載された、諌山創インタビューを読みました。
 諌山創が漫画家を目指してから持ち込み→編集会議→連載スタートまでの話が中心。


 安易な成功体験論にすればいいわけでもないのですが、「会議用ネーム」と「連載第1話のネーム」は別にした方が効果的だという証明にもなっていて、作家よりも編集者こそ必読かも。


 実際に会議用ネームが全ページ収録されているので、読んでみると、確かに設定解説とキャラ紹介と見所ダイジェストにしかなっておらず、場面集としては面白そうに見えるものの、シーンを盛り上げる流れを無視してるため、どう連載で盛り上げていけばいいんだろう……と頭を抱える内容にも見えます。


 このズレがなぜ起こるのかというと、編集部員は「ポテンシャルとしてどのくらい面白いのか知りたい」のであって、新人漫画家もその期待(評価基準)を超えるように提出しなければならない(仮に編集部がそう考えてなくても作家側はそのように気負ってしまう)のに対し、読者にしてみれば「続きが気になる」だけで連載への期待は充分満たされるものなのだ、という根本的な違いがあるように思います。


 ならば、編集会議に通すのは「名場面集」だけでいい、というのは合理的なことのはず。
 会議用ネームと連載用ネームを区別しないおかげで、例えば『週刊少年ジャンプ』の新連載は、みな一話で魅力を出し切ろうとしてしまい、2話以降の魅力で苦戦するケースが絶えないのだと考えられるのですが……。