コミックス感想/松井優征『暗殺教室』1巻、宮成樂『晴れのちシンデレラ』5巻
松井優征『暗殺教室』1巻
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コミックスで一話を改めて読むと、最初から「なぜ手入れする!?」という、殺せんせーの「手入れ好き」が描かれているのがクスリとしますね。
この時点では、単なる小ネタという描き方なんですけど。
圧倒的な強者ゆえの、「弱者を教育することへの執着」がすでにキャラクター性として強調されていたんだなあ……ということですから。
宮成樂『晴れのちシンデレラ』5巻
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カバー下の描き下ろしを読むと、作者が「お嬢様マンガ」というコンセプトを忘れて脱線しがちだった楽屋裏が明かされてます。
実際、3巻あたりは特に脱線的なエピソードが多くて、個人的にはあまり思い入れがなかったんですよね。
でもこの5巻では、作者が意図せずに「脱線しつづけた」ことがメインテーマにも回収されるようになっていて、作品としては良い結果が得られています。
つまり「ハルさんがお嬢様を目指す」が本来のストーリーだったのが、次第に「ハルさん自身が特別な人なんだ」という話も同時に蓄積されていたということです。
主人公ハルさんについては、いままでの巻では
・貧乏時代を隠す
・貧乏時代に身につけた力がつい無意識 or 反射的に漏れてしまう
というハルさん本人からすると苦労するシチュエーションが優先的に描かれていましたが、本巻の“おかめ仮面”のくだりは
・貧乏時代に身につけた力が、人のためになる
というヒロイックな面が色濃い仕立てになっています。
もともと、彼女の貧乏時代は苦労はあっても決して不幸な時代ではなくて、それはそれで家族と絆を育んだ大事な宝物として回想される心のリソースなのですが(だから題名は「晴れ」のちシンデレラ)、ここへきてより積極的・実際的な資産としても活かされていてしみじみ感じ入りました。
身辺雑感/脳をとろ火で煮詰める日記: 漫画『晴れのちシンデレラ』(5)読了
漫画には、大筋のコンセプトと脱線のバランスがあるとして、ここではコンセプトをまっすぐ目指さないことが正解になっている。
4コマ漫画(ストーリー4コマ)という形式による要求もあるのでしょうが、脱線を重ねて生じるものが多重的な面白さに繋がっていると感じました。
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ところで、4巻までの装丁は赤色のデザインだったのが、今巻から水色のデザインに切り替わってますね。何か、意味はあるんでしょうか。