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漫画購入録/天乃忍『ラストゲーム』2巻

ラストゲーム 2 (花とゆめCOMICS)ラストゲーム 2 (花とゆめCOMICS)
天乃忍

白泉社 2012-07-05
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 今月上旬の新刊なんですが、遅れて購入。本誌でも連載で読んでいる作品です。


 『LaLa』や『LaLaDX』のような月刊少女誌の作家さんは、いわゆる「読み切り作家」から「連載作家」へステップアップするのになかなか険しいハードルがあるのですが、この天乃忍さんもご多分に漏れず紆余曲折を経験されています。


 「コミックス一冊ぶんを超える本数の読み切り掲載」「コミックスで2巻完結の連載」と続いて、「全3話の短期集中連載」として描いたのが『ラストゲーム』の1〜3話。
 そこから「続きを描いていいよ」と本格連載が決まったのが、この2巻以降、第4話からのエピソードになります。


 ただ、第3話でほとんど一度完結している(いわゆる「数年後の未来」に時間を進めたエンディングを描いている)ため、続き物というより「第一部」と「第二部」に分けた方が相応しいかもしれない構成になっています。
 個人的には、2巻以降をラストゲーム キャンパス編』って呼んでいいんじゃないかと思うような感じですね。

『LaLa』では珍しい、可愛い絵柄のキャンパスラブコメ

 そう、2巻以降のエピソードは大学生になってからの話なんですよね。
 あまり具体例が思い浮かばないのですが、『LaLa』作品で大学生が主人公のキャンパスもの、って珍しい気がします。


花の名前 1 (花とゆめCOMICS)花の名前 1 (花とゆめCOMICS)
斎藤 けん

白泉社 2005-06-04
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 すぐ連想するのは『LaLaDX』に連載していた『花の名前』ですが、あちらは比較的大人っぽい絵柄でしたから、やはり天乃さんのように可愛らしい絵柄で大学生活をテーマにする作品はそうそうないのかもしれません。


 結果的に、絵柄としては幼いテイストのラブコメタッチでありつつ、恋愛の内容は成人のそれ、という「ありそうでなかった」バランスが面白い作品になっています。


 「うっかり大学生まで描いてから続編が決まってしまった」がために「まさかのキャンパスものがLaLaで連載」というハプニングで生まれた連載なのですが、なんだか「うっかり力石の身長を大きく描いてしまったおかげで『あしたのジョー』が名作に」みたいな、瓢箪から駒が出たようなケースを思わせます。

LaLaの少女漫画といえば可愛いヒロイン

 で、何が面白くて読んでるのかって話をするのを忘れてましたが、元々『LaLa』のラブコメ漫画というのは(比較的)「ヒロインが可愛く描かれている」のが特徴といえて、男性に薦めやすい作品が多い、という側面があります。

 しかし「優等生に張り合おうとするエリートの恋愛」っていう、「いかにもLaLa!」って言いたくなる設定だったりとか、無口系黒髪ロングのヒロインだとか、白泉社系のラブコメ好きには注目の作品ですね。

漫画購入録/天乃忍『ラストゲーム』1巻 - ピアノ・ファイア


 その中でも『ラストゲーム』は大学生の女子がヒロインなので、読者の対象年齢を上げられるメリットがあると思います。


 まぁ無表情なヒロインだとか、黒髪ロングだとか、ある種のツボを持つ人には良い作品なのではないでしょうか(宣伝モード)。


 個人的には、ヒロインが無表情=情緒が薄い(恋愛の機微に疎い)というだけではなくて、「恋愛感情を中抜きして相手を好きになっている」という性格で描かれているところが気に入っています。
 好きなんですよね、「現代的な恋愛の手続きをふまえないで両想いになる」関係を見るのって。
 ただ、ラブ・コメディとして一筋縄にいかないのは、主人公である男子の側が「現代の恋愛手続き」を経てプロポーズしようと苦心している、という点なのですが……。
 神の視点から見れば、もう付き合ってしまえばいい関係だっていうのも、ラブコメのお約束なんですけどね。

ラストゲーム 1 (花とゆめCOMICS)ラストゲーム 1 (花とゆめCOMICS)
天乃 忍

白泉社 2012-01-04
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