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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

今週のネギまは良かったよね話

「今週のネギまは良かったよね」
「何が?」
「いや、エヴァがさ、ネギはスケールは小さいよ。父親には及ばないタイプだよね。って言って……」
「それでアルが、確かにナギよりスケールは小さいけど、ナギへの憧れの強さはスケールでかいですよって返す話ね」
「そう。で実際に、父親ならこうするだろうっていう、自分の中から出てくるわけではない言葉でタンカを切るネギに場面は移る」
「憧れによるハッタリね」
「ハッタリとはちょっと違うな。ネギの中にはその父親が持つスケールの大きさが実感としてある。実感としてあるわけだから、実現に移すことも可能だ。そう考えるわけだ。あまり論理的ではないが、だからこそすぐにヘコたれたりしないぞ、この想いが強いかぎり邁進可能だぞと言えるわけだ」
「確かに、ただのハッタリなら自信も持続していかないだろうし。逆にネギは試行錯誤の繰り返しと知恵の結集力でじりじり目的達成に迫るタイプの主人公として描かれてきている。だったら、なんとしてでも父親のやりそうなことを自分でもやってみせるぞと」
「この話が良かったというのは、ネギという主人公の、父親への憧れの強さ、というのが物語的にどういう働きをするのかが見えるようになったからだ。今まではどうも、煮え切らない所があったんだよね」
「父さんには憧れる……。でも散々、父親のようになるべきではないし、また、なれる実力もない。と、いうのが台詞でも描写でも繰り返されてきたよね」
「憧れの存在そのままになってはいけない、というのは前作『ラブひな』からの反省に基づいた少年漫画の原理的に正しいメッセージなんだが、にも関わらず父親への憧れは消せないわけで、だったらどう生きればいいの、というのが主人公の試練になるはずなんだが、それがどうも今まで言及されてこなかった」
「魔法界編に入ってからは、ナギはすごい。あのナギの息子とは驚きだ。という周囲の父親語りばかりが積まれていたしね。今までネギは、ナギのクローン説とか本人説とかあったくらいだけど、しかし母親の確定によって天才の血も半分に減っていると言える」
「ネギが素質レベルでナギを上回ることはない、っていう説明はほとんど外堀が埋まってるんだよな。そこにきて、アルがいい解説役になってくれている。ネギの強さというのは、つまり自分がなれないものに対する憧れの強さなんだが。その憧れエネルギーの向け方を、ネギ本人がはっきり明示するのが今回だ」
「今回ではっきり明示された、というのは逆に言えば、最近そうなったわけじゃなくて結構前からそうだったんだ、という明示でもあるかな」
「そうかもしれない。自分がそれ自体になれないということを自覚して、でも、そのレベルは確かに実在するんだ、目標にできるんだという拠り所にする。自分がそれになれないということと、自分がそれを目標にすることは違うよ、と」
素手でコンクリートを割れる人間がいたとして、自分が素手で割るのはどう考えても無理があるけども……、コンクリートが破壊可能であるということはあの人が証明してくれている。じゃあ素手以外のどんな手段でもいいなら、あの人じゃなくても割れるはずだ。こんな考え方かな」
「いい喩えかはわからないけど」
「ちょっと違う……? ネギが信じているのは、あの人なら言いそう、であって、あの人ならできた。じゃないしね」
「そう。結局ネギは、父親が言いそうなことであっても、その父親すらもできなかったことをやろうとしてるんだ。もちろん、これからのネギは独力ではなく、父親世代の遺産に手助けされることで目的を達成するんだろうが――二度目の正直だからね――、事実上は父親以上の結論を、ここで出そうとしているわけだ」
「それが父親と同レベルの実力、ではなく、あくまで低い実力で高みを目指そうとするから、熱いぜと」
「熱いね。実力は関係ないんだ。少年漫画はモチベーションの強度が全てのかなめだよ」

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