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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

読んでみて「つまらない」と思える能力

 昨日の日記でこういうことを書いたのでその続きとして。
 この手の「つまらないと感じるのは自分のせい」という意見を聞くと「どんな漫画でも面白く感じられるようにならなければ……」などと求道的に自分を追い詰める人もいるんじゃないかと思うのですが、それは良くない発想なんじゃないか、という話を付け加えておきたい所です。


 なんせ実際、ぼくが立ち読みで読んでる漫画の大半はつまらないと思ってますからね。


 ここで石を投げずに聞いてほしいのが……別に投げながら聞いてもらってもいいんですが……、「何かを面白いと思って受け入れるには愛情と情熱を割り振らねばならない」ということであって、趣味を持つ人間はそのキャパシティを節約して生活する知恵も持っていて然るべき、というハナシです。
 自らの趣味嗜好を正確に自覚し、好みから外れるものは淡々とスルーしていく態度は、別に恥ずかしいことではないと思います。
 教養として読むのならまだしも、娯楽としての漫画はグルメや異性の好みなんかに喩えていいもので、「好みでもない相手を味わいつくそう」なんて態度は、むしろ「がっつく」ような野暮に映るんではないでしょうか。


 「面白いとされる漫画は全部面白いと感じたい」というのは「きれいめの異性には全員に惚れたい」「他人がうまそうに食ってるものはみんな美味しくいただきたい」と考えるようなものですね。
 まぁ社会的には身についていないと困る能力なのですが、「出会った異性に片っ端から入れ込んだりしない」のが人として自然な態度なのと同様、漫画も個人的な興味が湧くまで積極的に面白がる必要も無いのです。


 つまり「どういう読み方をすれば面白い漫画をつまらなく読めてしまうのか?」という問題は、自覚できていなければ読み手の欠陥なんですが、自覚できていれば能力なんですね。


 あくまで肝心なのは、「今は自分のために面白がらないでいるのだ」と意識しておくことであって、「(一苦労だけど)読み方を変えてしまえば面白くなるはず」「自分以外の誰かがこれを面白がっていることは間違い無いはず(自分はその誰かではないけど)」というイフの可能性は常にイメージしておくことですね。


 そして最後に、「自分の好きなもの」をちゃんとしっかり持っておくこと。あとは嗜好が微妙に重なっている人とのコネ*1をたくさん持っておくこと。このふたつに尽きますね。

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