『スキタイと匈奴 遊牧の文明』読了
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- 同シリーズで読了済みのもの
岩明均の『ヒストリエ』を読んでいると、戦闘民族スキタイ人に対する好奇心が尽きません。
それに付け加え、同シリーズの『シルクロードと唐帝国』を先に読んでましたから、ユーラシア全体の遊牧民族にも興味が湧いていて、勉強の為『スキタイと匈奴 遊牧の文明』を購入しました。
内容はと言うと、うーん、流石に「文字を持たない民族」の歴史はわからんことが多いな〜〜〜、基本的に謎だらけです。「幻の民族」とまではいかないけど、「謎の民族」であることには違いない(特にスキタイ)。
でもまぁ、かなり参考になりました。騎馬民族の行動範囲の広さにはびっくり……裏返して言えば、ユーラシアって思ったよりも狭いんだなぁ、みたいな感覚が読後に残ります。こういう、中央ユーラシアの地理感覚は普段イメージしてない分、新鮮に感じますね。
細かい所では、モンスターとしては有名な「グリフィン」は、騎馬民族特有のモチーフがギリシア世界に伝わったものらしい、といった話も書いてありました。
ところで最後まで読み終わると、タイトルに含まれている「遊牧の文明」というフレーズが、なかなか挑戦的な意味を持っていることが解ります。
専門的な意味で言うと、「文明」とは都市国家の成立を条件にした言葉なので、遊牧騎馬民族の文化を「文明」と呼べるかどうかは微妙なんですね。
しかし、遊牧騎馬民族の存在を、他文明より劣った「蛮族」として捉えるのではなく、対等・匹敵する存在として扱おうとする、筆者の意志がタイトルからも窺えるようです。
ちなみにユーラシアの歴史書としてなら、次はモンゴル帝国の本か、オスマン帝国の本を読んでみたいですね。清や満州も読みたいけどな〜。