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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

双方向性を持たないコミュニケーション

 また≪スクラン考3≫の話題です。
 ぼくが記事を書く時には割と意識していることなんですが、「その作品について書いたことが、他の作品を語る場合にも使える」という再利用性? が出せたらいいなと考えていたりします。
 できれば普遍的なことを書きたいですからね。「作品について」書きたいのではなくて、「作品を受け取る側の人間の感性について」書きたい、という意味でもあると思いますけど。
 赤松健論も、何かと(赤松漫画とは関係ない文脈で)引用されることが度々あって*1、そういうのが嬉しいですね。


 今回のスクランの話でも、「コミュニケーションが成立してない人間関係の面白さ(微笑ましさ)」がテーマの一つだったわけですけど、それは単にスクランが極端な例として取り上げやすかっただけであって、小説などのドラマ全般に応用の利く「視点の提供」になっていると思います。
 実際、オフ会でこの話をした時なんかは、すぐさま「マリみて」との比較に話題が飛び火したりしましたし。*2桜野みねねの『Healing Planet』がサンプルとして出てきたりして面白かったです。

 最近の少年誌だと、ハヤテなんかにも当て嵌まりそうな話で、そこらへんどうでしょう。>id:tanabeebanatさん、id:PEH01404さん


 一言で言っちゃうと、普通は「相互理解が深まるほど愛情が強まる」とされている筈が、「意思疎通が成り立たないほど愛情が深まる」という逆説もありえるという問題で……まぁそれも裏を返せば一般論(世間知)の一つではあります。
 黙して語らず、ってのは「粋」な生き方ですけど、まさに「ありがとう」を意地でも言わないからこそ義理人情が深くなるという世界もありますしね。

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 ちなみに記事執筆中ヘビーローテーションになってたのがこのアルバムでした。“スクランブル”の男性ボーカル版なんかも入っていて、他の楽曲も中々聴き応えがあります。
 密かに布教してるんですが、UNSCANDALはいいですよ! お気に入りです。

04/08追記

 Web拍手から。

スクラン考、楽しく読ませていただきました。しっかし、論中に高野晶がまったく出てこないというのも凄いですね(笑)

 ちゃんと注意して読み返せば、文化祭の直前に沢近が晶に脚本を書かせようとお節介を焼いたエピソード(KC9巻♯112)以降、晶が沢近に気を遣ってやるシーンが増えていることに気付ける筈ですよ!(笑)
 あそこは丁度、「沢近の自己満足(愛情)」を「晶が見抜いて、でも本人には黙っている」構図になってますね。まぁ晶は内面描写が少ないので、本気で謝意を抱いているかどうかは謎なんですが。


 そういう例はメインキャラ/サブキャラを問わず枚挙に暇が無いので、是非探してみて下さい(その「探す楽しみ」を奪わない意味でも、あえて例に挙げなかったシーンがあったりもしますので)。

04/08再追記

 これ書くの忘れてた。あとツンデレ論にも応用の利く話だよなーと。

*1:ラブひな拳児/ケンイチ絡みの師匠弟子論が特に

*2:マリみての場合、「心が通じ合った」二人が泣いて抱き合ったりしてカタルシスに繋がる場面が多いよね、というような話(それでいて一方的な自己満足を楽しんでいるキャラクターも多かったりする)