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『絶対可憐チルドレン』第1話とサンデーのメモ

絶チル、短期集中連載版との差違

 導入部で皆本を少年時代から地続きにさせ、キャラデザも少し童顔に微調整。幅広い読者が主人公に感情移入しやすくしている。また、予知能力をわかりやすいガジェット(世論調査のパロディ?)に採用し直したのは良かった。


 ネット全般では「たとえ受け入れなかろうが自分の描きたいものを描く!」とかいったドン・キホーテ的なイメージが先行して語られがちなタイトルですが、「短期集中版→正式連載」へ至る過程で、読者に歩み寄る「工夫の跡」が確実に見られて面白いです。
 ラストカットの「どちらともいえない」の範囲が小さくなっている描写にはホロリと来ました。やっぱ、わかりやすいのはいいですね。
 所々アクが弱くなってる(薫が戦車ぶっこわしたり、あからさまに人を傷つけているシーンが削られている)のと、ツンデレのデレ部分が後回しにされているのは、まぁスロースタートを狙った結果なんだと解釈できる感じでしょうか。
 椎名高志ショートショートの巧みさがウリだと思うので、いきなりメインストーリーを動かすのではなくて、GS美神の初期みたいな読み切りの連発で世界観を固めて欲しくはあります(でもああいうクオリティを連発するのは、体力が作者に無いと難しい筈)。

その他

 あいこらは完成度が高くてそこそこ面白い。そういえばこの主人公、パーツ集め以外の夢とか目的とかってあったんだっけ?(笑) 主人公の「勝利条件」もハッキリしない漫画だし、規制のフォーマットに則っているように見えて、割と少年漫画的な「反則」をゴリ押してしまう井上和郎は凄いかもしれない。
 女子寮だけを舞台にしてしまうとAI止まと同じ陥穽に陥ってしまうだけなので、そのうち舞台を学園に移すつもりなんだと思いますが……。


 あ、『ラブひな∞』の巻末にあるラブひな第1話のメイキングを読むと、この手の「美少女いっぱいHラブコメ」に必要な要素や課題が理解できますから、『あいこら』を読む時に便利ですよ。
 例えば主人公は「最初はコミュニティに異邦人として拒絶されるが、やがて受け入れられる」試練を通過する必要があるのだけど、そのモデルとしてちばあきおの『キャプテン』が「キャプテン方式」として挙げられていたりとか。ラブひなの場合は、キャプテン方式をあえて避けたのだったかな。
 『あいこら』の主人公はまだ環境に適応していないので、そこをどう処理するか、なんかが見所です。しかし、お手本を見ながら漫画を描けるっていうのはラクそうでいいなぁ(笑)。


 MARのファンブック、明後日出るのか。MARには興味ないけど、500円だし、買おうかな(藤田和日郎吉田聡和月伸宏が寄稿してるらしい)。