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『マリア様がみてる〜春〜』第8話「銀杏の中の桜」

 原作の「チェリーブロッサム」においても、ちょっとした急所であるのが「宗教裁判」の部分。いくら小説でもちょっとどーよ、というくらいの荒療治っぷりですし。
 しかしそういう、原作自体が抱えている問題を差し引いて観れば「原作アニメ」とは本来このくらいで然るべき、という水準を満たしている点で前回、前々回と同様に評価できるでしょう。
 絵の変化やカメラワークが多く、間の取り方も上手いし、エキストラやガヤの使い方も自然。(脚本にフィルムを合わせるのではなく)フィルムのリズムに合わせた無理の無い脚本。
 これは演出監督としてのユキヒロマツシタと、脚本家としての吉田玲子に何らかの意識変化があったと取るべきなんでしょうか。
 個人的には、「スタッフに時間枠の変更が伝わった後に作ってるから」という説を推したかったりしますけどね(「前期みたいな深夜アニメを日曜朝に流せられない!」と気を引き締めるようになったんじゃないかという仮説)。


 人物の作画は、このくらいユルい方が「あぁ、TVアニメの画面だなあ」という感じで安心しますね。
 最近の作画アニメを見慣れている人は、「過剰に作監修正の作業量を増やして人物作画を向上させようとすることが、いかに演出/レイアウトを制限させ、フィルムの映像的リズムを奪うデメリットとなっているか」を意識して観ればいいのに、と思いますわ。
 そう、あと、今回は瞳がキラキラしすぎてないという点でも好みの画面づくりでした。


今週の良かったところ:「乃梨子顔を伏せる→志摩子の髪がかかる→(時間を巻き戻しつつ)近寄って抱擁→カメラの回り込み→遠景」のシークエンス。アニメ的な演出でよろしい
今週の残念なところ:次回予告