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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

(id:izumino:20040819の続き)付き合い方の話

 最初、ぼくは議論全体のバランスを見て伊藤剛(id:goito-mineral)さんに対する理解を中心に参加していた*1わけですが、そろそろ伊藤さんの発言内容で気になっていた点も指摘しておきます。


 やはり最初の投げかけが「先輩口調」だったのが印象を悪くしていたように思えました。多分伊藤さん自身は「親しみを込めた口調」としてその文体を選んでいたのでしょうが、それは「先輩→後輩」の関係のみで有効な「親しみ」であって、しかしネット初対面というのはお互い対等で、親しみも無いくらいの関係でしょう。
 伊藤さんは日記でオタクとしての「濃さ」や経験値の差をタテにして先輩ぶるオタク親父の特徴を批判していて、この考え方自体はぼくも好きなんですよ。なのに、伊藤さん自身が「対等な関係」を示すような文体を用いられなかったことは反省点として挙げられるんじゃないでしょうか。
 これはid:izumino:20040819#cのハラさんへのレスにも見受けられることで、どうも「自分は色々経験してるんだ、だから解る」っていう示威に見えてしまえる。これは誤読でもなんでもなく、「そう読めてしまう」という一側面でしょう。

 で、こちらではかなり言葉遣いに変化が見られるわけで。
 うーん、まぁちょっとは緩衝材になることができたのかな、くらいには思っておこう。




 あとは、ぼく自身が気を付けているフィールドワーク──(基本的には腐女子や女性オタクに限定しない)別分野との付き合い方について書きます。自分用のメモでもありますが。


 まず直接コミュニケーションを取る前に、「質問するよりも読んだ方がよっぽどその分野のことが解る」っていうのは確実にあります。
 むしろ、自主的に語らせた言葉は参考にならないと思った方がいいくらいです。
(……というのは別に「女は理論的に説明するのが苦手だから」という意味じゃなく、男の方がよっぽどその傾向はあって、そこらへんの萌えオタクを捕まえて「萌えって何?」という質問をした所で、大抵は間の抜けた答えしか返ってこないでしょう)
 個人に質問して解ることは「その人のこと」だけですから。


 同盟リングや同盟サーチを巡れば山ほど女性オタクの日記にあたることができます。勿論はてなキーワードも便利ですが、ブロガーよりも、普通の場末サイトを大量に巡った方が雰囲気を掴めます。2chも読みます。本やゲームの話題があれば手に取るか、検索して評判くらいは確かめます。ネットだけでは心許ないので、雑誌の読者コーナーなんかも有用でしょう。
 それと、「調べたいから調べる」ではなく「その分野が好きだから調べたい」という意識を忘れないようにしています。まず「良き消費者」になるつもりで始めるのが理想かもしれません。
 こういうことをしてると「なんとなく」解ってくる部分があるんですが、その「なんとなく」こそが他者理解には必要だと考えています。


 次に直接コミュニケーションを取る場合。
 しばらくネット上のフィールドワークをやっていて実感としてあるのは、「信頼関係を相手と作ることを優先しなきゃならん」という程度のことです。ウェブ友達から始めましょう、というか。その信頼が持てない相手から有益なリサーチはできませんし、質問も相手が自然に答えられそうな内容にするのが「付き合い」なんじゃないかと。*2
 その上で、前述したように「その人から訊いて解ることはその人のことだけ」と自戒して次に進むわけです。


 そして正直に言えば、伊藤さんも信頼関係を結べていない相手との対話からは一歩退かれて、私的領域内での「読み」に戻られた方がいいと思ってしまいます。対話しなくても解ることは充分多いですから。

  • 追記

 上記とは異なるレイヤーの問題があって、伊藤さんは、ただ「自分が相手を理解したい」気持ちと同時に、「相手に良い影響(変化)を与えてあげたい」気持ちがあるということ。
 この「相手に良い影響を与える」ということが正に、「信頼」や「尊敬」のある者同士でしか起こりえないことですから、すれ違いがあって当然だったと思います。それでもなお、相手に良い影響を与えようと願うのは、それはもう「祈り」なんかに近い。そもそも、その「良い影響」が本当に「良い」ことなのかは結果を見るまで解らないことですし。おそるおそる行うしかない。
 そんな中で、伊藤さんとid:XQOさんとの間には相手を信頼しようとするムーブメントをささやかに発見できるわけですが。

*1:議論では少数派の側に加わる人も必要だと考えているので

*2:その相手の人達を自分の理論やネット議論に巻き込まない、っていうのも注意点