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那州雪絵『夜明け前、僕らは…』(ISBN:4403660584)

izumino2004-05-07

 那州雪絵ボーイズラブ漫画3冊目。
 まぁ普通に読めますね。
 ところでこの漫画があまりやおい臭く感じないのは、「どっちが攻めでどっちが受けか」みたいな要素が希薄だからでしょうか(作者も受け攻めにあんまり拘らないタイプらしい)。

  • そこからちょっと百合漫画話に派生すると

 雑誌『百合姉妹』に読者が求めているのは(男でも女でも)、結局「どっちが攻めでどっちが受けか」みたいなやおい的要素なんじゃないかと思う。
 『百合姉妹』には「恋愛じゃないけどなんとなく少女漫画っぽいせつない話」系の作品も載っていてそれもそれなりに評価されているのだけど、読者のニーズからはズレているような印象もある。
 例えば『百合姉妹』Vol.3の中で言えば林家志弦紺野キタ、井上眞改、あたりが受け攻めのはっきりした漫画を描いており、大塚ぽてと森永みるくテクノサマタ、辺りがはっきりしない漫画を描いている。
 まぁ前者が後者よりも優れているという話ではないのだが、この中では、紺野キタが最も「受け攻め」に意識を置いた漫画を描いていて、それが読者の高評価にも繋がっているのは、やはりニーズと合致しているからだろうと考えることもできる。*1
 漫画文法が未開拓な分野を開墾していく上で言えば、変に「少女漫画らしさ」を意識するよりボーイズラブの文法を「直訳」した方が即効性が高いということかもしれない。
 ところで、ボーイズラブ文法をガールズラブに「翻案」するテクニックで言えば、蔵王大志よりも影木栄貴の方が巧い気がするな。*2というわけで次号には期待しています。

  • なんでこういう話になったかというと

 最近、思考実験と称して「BL漫画のカップルを女性に置き換えて読む」という遊びをやってたんですが、これが結構互換性の効くもんだなあと思ったからなんですけどね。

*1:まぁ、作家陣中で、最もネームバリューのある作家だからでもあるけど

*2:蔵王……というか、つだみきよはそこまで計算するようなタイプではないと思うので