那州雪絵『夜明け前、僕らは…』(ISBN:4403660584)
那州雪絵のボーイズラブ漫画3冊目。
まぁ普通に読めますね。
ところでこの漫画があまりやおい臭く感じないのは、「どっちが攻めでどっちが受けか」みたいな要素が希薄だからでしょうか(作者も受け攻めにあんまり拘らないタイプらしい)。
- そこからちょっと百合漫画話に派生すると
雑誌『百合姉妹』に読者が求めているのは(男でも女でも)、結局「どっちが攻めでどっちが受けか」みたいなやおい的要素なんじゃないかと思う。
『百合姉妹』には「恋愛じゃないけどなんとなく少女漫画っぽいせつない話」系の作品も載っていてそれもそれなりに評価されているのだけど、読者のニーズからはズレているような印象もある。
例えば『百合姉妹』Vol.3の中で言えば林家志弦、紺野キタ、井上眞改、あたりが受け攻めのはっきりした漫画を描いており、大塚ぽてと、森永みるく、テクノサマタ、辺りがはっきりしない漫画を描いている。
まぁ前者が後者よりも優れているという話ではないのだが、この中では、紺野キタが最も「受け攻め」に意識を置いた漫画を描いていて、それが読者の高評価にも繋がっているのは、やはりニーズと合致しているからだろうと考えることもできる。*1
漫画文法が未開拓な分野を開墾していく上で言えば、変に「少女漫画らしさ」を意識するよりボーイズラブの文法を「直訳」した方が即効性が高いということかもしれない。
ところで、ボーイズラブ文法をガールズラブに「翻案」するテクニックで言えば、蔵王大志よりも影木栄貴の方が巧い気がするな。*2というわけで次号には期待しています。
- なんでこういう話になったかというと
最近、思考実験と称して「BL漫画のカップルを女性に置き換えて読む」という遊びをやってたんですが、これが結構互換性の効くもんだなあと思ったからなんですけどね。