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泉信行 早稲田大学のワークショップと『ユリイカ』掲載のお知らせ

早稲田大学「イメージ文化史」ワークショップに登壇のお知らせ

 今月の23日(金)に、早稲田大学の鈴木雅雄教授に招かれまして、「イメージ文化史」ワークショップの第7回に登壇することになりました。
 口頭で漫画表現論を発表できるという機会を活かしてなるべく「文字媒体では伝わりづらいこと」、原稿などで伝えられること以上の情報も込めて話すことができればと思っています。
 関心のある方はぜひお越しください。

早稲田大学総合人文科学研究センター研究部門「イメージ文化史」主催 2015年度 ワークショップ

「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第7回

日時 2015年10月23日(金)18:00〜20:00
場所 早稲田大学戸山キャンパス33号館3階第1会議室

泉信行(マンガ研究者)
漫画を「見る」という現象
―人間とメディウムを中心としてー


お問合せ先:総合人文科学研究センター研究部門「イメージ文化史」 imagebunkashi@list.waseda.jp

ユリイカ』2015年10月号「特集*マンガ実写映画の世界」掲載のお知らせ

 8月は「細田守総特集」と「男の娘特集」への寄稿がたまたま連続していたのですが、そう間をおかずにこの特集号にも掲載がありました。
 泉信行「虚構の命の作り方―漫画表現論の先端から」で目次を探してみてください。


ユリイカ 2015年10月号 特集=マンガ実写映画の世界 -『るろうに剣心』から『進撃の巨人』『バクマン。』『俺物語!!』へユリイカ 2015年10月号 特集=マンガ実写映画の世界 -『るろうに剣心』から『進撃の巨人』『バクマン。』『俺物語!!』へ
大友啓史 大根仁 河合勇人 本郷奏多

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 特集のテーマ(「マンガ」と「マンガ原作実写映画」)に合わせた原稿の内容は編集さんと相談して決めたのですが、漫画研究者サイドからの寄稿ということで割りきって、思い切り「漫画表現論」として書いています。


 「漫画表現論の先端から」という副題に偽りなく、泉信行、岩下朋世、三輪健太朗という(若手に入る)研究者の成果を紹介しつつ、さらに米国の研究家であるスコット・マクラウドによる先行研究を深めた内容になっています。



 漫画論に関心のある人はぜひ一読を! という感じですね。
 しかし内容を詰め込みすぎないように、字数を調整する過程で入れ損ねてしまったのですが、伊藤剛さんの論考「マンガのふたつの顔」にも言及しておくとよかったと後で思いました。


日本2.0 思想地図β vol.3日本2.0 思想地図β vol.3
東 浩紀 村上 隆 津田 大介 高橋 源一郎 梅原 猛 椹木 野衣 常岡 浩介 志倉 千代丸 福嶋 麻衣子 市川 真人 楠 正憲 境 真良 白田 秀彰 西田 亮介 藤村 龍至 千葉 雅也 伊藤 剛 新津保 建秀

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 拙稿では「漫画の絵柄」についての分析を主にしているのですが、そこでは「同じ作品内での絵柄の描き分け(使い分け)」についての言及が薄めだったんですね。
 文中(脚注含む)では「キャラクターごとの絵柄の使い分け」や「視点(主観)ごとの使い分け」に触れていましたし、引用しているマクラウドの『マンガ学』でも「シーン(視点)ごとの使い分け」を分析に含めているのですから、そこはもう少し強調してもよい要素でした。


 改めてまとめておくと、漫画の絵柄というものは「作品ごとの使い分け」「キャラクターごとの使い分け」「シーン(視点)ごとの使い分け」があり、さらに伊藤剛の論を踏まえれば「同じキャラクターのパーツごとにも使い分けられる」と付け加えられるでしょう。
 体全体のボディラインは写実的だが、「髪型」や「顔の各パーツ」はマンガ的な特徴のあるディティール(大きく輝いた目に小さな目鼻など)で描かれる、というようにですね。


 さらに他の執筆陣の原稿を読ませていただいて反省したことがもうひとつ。岩下朋世さんが「マンガ実写映画」を「マンガの実写化」「マンガから生まれた映画」に峻別することを提案しているのですが、これは泉の原稿にとっても肝心な論点だったと思います。そちらも併せて読んでいただくといいかと。
 そこを意識していれば「漫画にとっての実像とは何か」というテーマについてもっと立体的に考えることができたはず。
 これについてはまた別の機会に分析を深められれば、と感じたところです。