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諦めからのささやかな気付き/柳原望『理不尽のみかた』1巻

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柳原望

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 高杉さん家のおべんとうで注目していた柳原望さんの新刊ということで。しばらく積んでいたんですがようやく読み終わりました。
 掲載誌は白泉社女性誌Silky』。


 『高杉さん家』との共通点として感じたのは、どちらも大きな喪失から始まる話だということ。
 我が身のこととして想えば、ものすごくキツイ喪失で、そのまま描くと話を重くしすぎそうな設定です。
 ですが物語自体は「すでに失ったあと」から始まるのでショッキングさはなく、読者は主人公を思いやりながら「すでに失った後なのだ」という状況を受け入れて読むことができる……、そんな作りでも重なる作品でしょうか。


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柳原 望

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 あとついでに言えば、これも名古屋が舞台なんですね。
 誇張はされてるんでしょうが、かなりアクの強い「庶民」が描かれているあたり、県民性というのは存在するのかな? とチョット気になりますね。県民性の話って好きなので。


 基本的には、「検察審査会事務局」というマイナーな職場の「職業ウンチク漫画」です。
 地味〜な仕事のやり甲斐のなさが強調されつつも、日常や人間関係のささやかな機微に気付いていくヒロインを魅力的に描いています。
 少し、人生を諦めてしまっているところからヒロインがスタートしているだけに、この「ささやかな気付き」が際立って見えるんでしょうね。


 「理不尽」という言葉に、「諦め」の感情が込められているわけですが……、「みかた」という言葉にもダブルミーニングが隠されています。
 その意味は、読んでのお楽しみということで。