死と再生の魔女っ子アニメ史/正木晃『魔法と猫と魔女の秘密―魔女の宅急便にのせて』
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ジブリアニメ好きで猫好きの宗教学者が著した「魔女」の解説書。
ジブリの『魔女の宅急便』を中心に、日本の「魔女っ子アニメ」の歴史を通観した章が設けられているのが特徴的です。
一般書で、魔女っ子アニメや魔法少女アニメを分析した本は珍しいんじゃないでしょうか。
西洋の魔女と東洋の魔女──東洋のものは魔女というより、鬼女や女神と呼んだ方が良さそうな気もしますが──を比較しながら詳しく紹介するともに、「魔女っ子アニメ」と「魔法の猫」についても論じていく構成になっています。
で、魔女っ子アニメ論としてはどうか。
著者は「東洋の魔女」のルーツを前提に踏まえることで、『ミンキーモモ』や『セーラームーン』における「転生」、魔女宅における「魔女としての再生」などのイメージを汲み取り、そこに東洋的・ヒンドゥー教的・仏教的な特徴を見出そうとします。
日本の魔女っ子アニメには「死と再生」という東洋的な宗教観の影響がある、という論旨です。
この指摘は、確かに妥当でしょう。
元々、「魔法」という概念が洋の東西が交わる中央アジアやインドと関係が深い(「魔」という言葉からして仏教用語ですし)、という事実も踏まえて考えてみると面白そうです。
これは10年近く前に書かれた本で、つまり『プリキュア』シリーズがヒットする以前の歴史ですね。作品のサンプルを集めるために、ふしぎと『新世紀エヴァンゲリオン』の「綾波レイ」が魔女の系譜に組み込まれている点に時代を感じます。
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