「美人すぎる小説家」の私生活／『紫乃先生〆切前！』（王嶋環）１巻

　更新ネタも溜まっているのですが、新年最初の買い物から。今回は趣味の一冊です。
　購入は遅れましたが、７日発売の新刊。
（正月はバスで移動してたり、風邪ひいたり、パソコン壊れたりで、買い物しに外出できたのもつい最近という……。）

　ぼくが「美人すぎる」系のヒロインに弱いことは度々吐露してきましたが……。
　そのツボにストレートだったのが『紫乃先生〆切前！』でした。

紫乃先生〆切前！（1） (まんがタイムコミックス)
王嶋環

芳文社 2011-01-07
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　コミックス化が決まる前は『紫乃先生（美）録』というタイトルで連載していた四コマ漫画です。
　現在の「〜先生〆切前！」という題名は作家の日常モノを連想させますけど、連載スタート時は美女の私生活モノという側面をより推していたことになりますね。

過去記事：読んでる／王嶋環『紫乃先生(美)録』 - ピアノ・ファイア

紫乃先生はこんなキャラ

　努力の美人・見栄え気にしぃの見栄王なので、『彼氏彼女の事情』の宮沢雪野が好きの人はハマると思う紫乃先生。

彼氏彼女の事情 (1) (花とゆめCOMICS)
津田雅美

白泉社 1996-06
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　カレカノのゆきのんは「努力してやっと美人」という表現（元からかわいいはずですが、作中では一応そういう設定）なのに対して、紫乃先生は「努力をやめない美人」なのがポイントでしょうか。
　紫乃先生は、人から美人扱いされるのが生き甲斐……みたいな「いい性格」してますが、実際は（雪野みたく）性格の裏表が激しいわけじゃなくて、本当に「好きで努力してる」のがよいところです。

裏表紙

まじめだから自分を磨く努力もする

　これはコミックスp44の、印象的なエピソード。

「でもさすが先生　どんなお仕事でも全力でしたね　面白かったです」
「いやだわー　仕事内容によって手を抜く作家なんていないわよ」
「……」
「清野さん？」

（そんな作家もいるんですよとは　言えなかった
紫乃先生はすごいな…）

　紫乃先生は、こういう描写があるのが作品（キャラ）としての良さだと思います。
　基本的にまじめだから、自分の好きなことについては努力家なんです。
　人当たりの良さが努力の結果なら、小説家としての実力も努力の結果。
　「古典文学を読むのが好きだったから古文の成績も良かった」というエピソード（p80）からも窺える人柄ですね。
　小説家としてもたぶん、「小説が好きだから小説を書くようになった」タイプの作家なんだろうな、って想像できたりもします。
　紫乃先生を過保護にサポートしている担当の清野さんも、本当はその「小説に全力であるがゆえの実力」に惚れ込んで担当している、というのも話のポイントのひとつです。

　「美人すぎるヒロイン」の話をもっと読みたい自分（のフェチ）としては、「美人だからこそ人間的な長所も生まれている」っていうドラマも見たいんです。
　だからこういう紫乃先生の性格描写はまさにご褒美なんですよねぇ。

　あとよく考えると気付くんですが、紫乃先生の父親（仕事のできる商社マン）も「いい性格した努力家」なんですよね。
　きっと「家系」なんだろうなぁ、と家庭や生い立ちが想像できたり。
　そういう「キャラの奥行き」を感じるところも作品の魅力になってると思います。

紫乃先生は友達ができない

　連載でも気に入っていたエピソードなんですが、同業・同性の友達が初めてできる三儀貴子先生登場の流れはやっぱり面白い。
　ガードが固すぎた紫乃先生の世界が、話が進むごとに広がっていきます。

笑って！外村さん（1） (まんがタイムコミックス)
水森みなも

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笑って！外村さん - コミックナタリー特集・インタビュー

　外見で判断されすぎて、中身で人と付き合えないヒロインのお話としては、同誌掲載もされている『笑って！外村さん』が『紫乃先生〆切前！』と対照的だなとも思います。
　外村さんは逆に「美人で家庭的だけど、怖い不良だと勘違いされている」キャラですから。
　どっちも女友達がひとりしかいなくて、面倒見のいい弟持ちってところで共通してたりもします。