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興亡の世界史『イタリア海洋都市の精神』

イタリア海洋都市の精神イタリア海洋都市の精神
陣内 秀信

講談社 2008-07-18
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海からアプローチする中世イタリア都市の歴史と魅力。ヴェネツィアアマルフィ、ピサ、ジェノヴァ――自然環境を生かし、迷路のように入り組んだ都市空間には、ローマ、ビザンツイスラームなど多様な文化が積層している。その成り立ちと現在を、都市史・建築史の視点で解読する。

 興亡の世界史シリーズの本は、まえがき部分が面白い場合が多くて、特に「このシリーズの中で本書は特異な位置にあると言えよう」的な前置きから始まる巻は大抵面白い。例えば東インド会社がそうでしたが、この「イタリア海洋都市」もユニークな歴史の本になっていて、この異色さを含むという所に、本シリーズそのものの特徴が代表されているような気もします。


 歴史の流れを通時的に追うことよりも、由緒ある「都市」そのものを空間的に分析していくような内容で、「現在のイタリアではどのように保存・復元・再利用されているか」というリノベーションにまで目を向けられており、過去についての歴史学というよりも、活きた都市学として読んだ方がいいかもしれないような本だと思います。
 まぁ実際に行く機会なんてなかなか無いと思いますが、この本を意識してヴェネツィアアマルフィを観光できればいいなぁと感じますね。


(先日の18日に、長崎のグラバー園や出島を訪れた際は、この「建築から歴史を読む」視点が観光の役にたって楽しめました。)


オスマン帝国500年の平和オスマン帝国500年の平和
林 佳世子

講談社 2008-10-25
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