興亡の世界史『イタリア海洋都市の精神』
イタリア海洋都市の精神 陣内 秀信 講談社 2008-07-18 売り上げランキング : 28893 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
興亡の世界史シリーズの本は、まえがき部分が面白い場合が多くて、特に「このシリーズの中で本書は特異な位置にあると言えよう」的な前置きから始まる巻は大抵面白い。例えば「東インド会社」がそうでしたが、この「イタリア海洋都市」もユニークな歴史の本になっていて、この異色さを含むという所に、本シリーズそのものの特徴が代表されているような気もします。
歴史の流れを通時的に追うことよりも、由緒ある「都市」そのものを空間的に分析していくような内容で、「現在のイタリアではどのように保存・復元・再利用されているか」というリノベーションにまで目を向けられており、過去についての歴史学というよりも、活きた都市学として読んだ方がいいかもしれないような本だと思います。
まぁ実際に行く機会なんてなかなか無いと思いますが、この本を意識してヴェネツィアやアマルフィを観光できればいいなぁと感じますね。
(先日の18日に、長崎のグラバー園や出島を訪れた際は、この「建築から歴史を読む」視点が観光の役にたって楽しめました。)
オスマン帝国500年の平和 林 佳世子 講談社 2008-10-25 売り上げランキング : 4213 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
- 次に読むのはこちら。空間的に記述する「イタリア海洋都市」とはうってかわって、通時的な歴史叙述に戻っています
- でも順序としては『イスラーム帝国のジハード』を先にするべきだったかな。イスラムを理解できていないと、モンゴル帝国もオスマン帝国もちゃんと理解できなそう