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小説School Rumble第二弾 ネタバレ感想

小説スクールランブル―メはメガロドンのメ (KCノベルス)小説スクールランブル―メはメガロドンのメ (KCノベルス)
ときた ひろこ 小林 尽

講談社 2007-12
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 前作は烏丸の内面描写が凄くて、個人的な評価は非常に高かったのですが、今回は別のベクトルで凄かったです。
 舞台の時系列は17〜18巻あたり。
 「全知存在」としてのキリンの視点から、異世界に飛んだ各キャラの意識を「文字通りに俯瞰して」眺めていくというSF&メタ小説。*1


 「キリン」は原作者のトレードマークでもあるわけだから、ときたひろこからの含みもありそうだなと読後に感じました。
 「あとは小林さんにおまかせしますね」って言ってるようでもあり、『ストーンオーシャン』における荒木飛呂彦のように「世界は神が作ったものだけど、神はキャラクター同士の重力にまかせるだけであって、直接関与はしない(=未来を選ぶのはキャラクター自身である)」という思想を漂わせているようでもある。


 んで本編は、『YAWARA!』監督のときたひろこらしく、どのキャラクターもそっぽを向きまくり……。見つめ合わないし、同じ方向を見ることも無い(烏丸と天満のカップルを除いて)。
 スクランに思い入れが強い人が読んだら、胸が苦しくなってくると思う……と思いながら読んでいました。


 多分、「決して全員がハッピーエンドになるわけではないラブコメ」を『冷たい方程式』になぞらえて書いてるんでしょうね、SFパロディですし。

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 特に、高野とつむぎの内面を想像しながら読むのは辛かった。なんとなくこの二人には、ときたひろこの筆も異様な走り方をしているような気も。
 しかし高野は凄いキャラだと改めて思わされて、恨まれてもいい、気付かれなくてもいい、それでもいいからなるべく一緒にいようとして、それで女の子にデレデレしてる所は見たくなくて、でも幸せになれるよう手助けしてやっている……、うーん……なんだそれはって思うけど、唖然とする設定のキャラだ。


 あ、あと挿絵。なんか小林尽の鉛筆画って、普段見ない所為か妙に「色っぽい」と感じることがあるんですよね。

*1:時折キャラが原作から逸れた言動を取る場面もありますが、それも「夢のような」小説世界だと思えばかえって非現実感を助長してる気も。アニメ脚本家の書いた小説なので、場面と場面の繋ぎが脚本調で強引だったり、校正が行き届いてないのは前作もそうだったのでそこに文句は言いませんが