漫画購入録 - ピアノ・ファイア

皇龍飯店REST DRAGON
竹山祐右

幻冬舎 2007-03-24
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本屋で『レガシードッグ・エルザ』を見かけて、ジャケ買い
おお、これは当たりだ。良いＢ級アクション漫画ですね
歴史上の英雄の持ち物である、危険な「遺産（レガシー）」を集めたり封じたりする話、というボウケンジャーの先を行く世界観
- 連載のタイミング的にはボウケンより早い。まぁ、もっともそれより前に『スプリガン』がありますが……
遺産ひとつにつき一能力がついていたり、実在の英雄に対して捏造を加えて歴史をファックしていく感覚などは「Fate」シリーズなどの伝奇モノに通じる面白さがあります
なんとなく「90年代っぽい」テイストを感じさせる絵柄なので、「ちょっと昔のアクション漫画」のノリが好きな人の琴線に触れる漫画家かもしれません
この作者は他にも『皇龍飯店』というカンフー漫画を描いており、アクション描写が中国武術ベースになっているのも好みでした
- 『レガシードッグ・エルザ』に同時収録されてる短編も剣侠モノ
- ちなみに、タイトルの「エルザ」は「.LZH」のことらしい。短編のアーカイブ（書庫）ってことでしょうな

目下最大注目中の「eensy-weensy モンスター」ですが、改めて評価の再整理を
津田雅美の最新作であるということを実感させてもらってるよ
「カレカノの技術」と「ewから導入した最新技術」を組み合わせた上で、初期の作品のテーマを描き直している。津田雅美の集大成的な内容
キャラクターをどんどん増やして風呂敷を広げていたカレカノに対して、キャラも最低限、シリーズ構成もキッチリした完成度の高い作品。ミニマリズムで描かれた作品と言ってもいいかも

　コミックス１巻は７月５日発売！

　予習用として、カレカノよりもむしろ『ブスと姫君』を読んでおくことをオススメします。

『夏のあらし！』で注目しているのは、その作風がスクランとは明確に異なっている点です
特にキャラクターの視点の使い方や、ディスコミュニケーションの描き方が異なる……という違いもありますが、スクランであれだけやっている反復対比構造が「夏あらには無い」、というのが大きな違いですね
「繰り返す夏休み」と「タイムトラベル」をテーマにしている以上、繰り返しのシチュエーションは自然に発生してしまうので、メタ的な反復構造はあえて封印してるんでしょうね
ただ、今回は「戦場」というフレーズを「戦時中の“戦場”」と「戦後日本の“戦場”」のふたつにかけていたので、そういうメタファーの使い方はアリらしい
それにしても、ホント小林尽は気の長い構成を組みますね。やっと１巻のアレが回収された（笑）