野望のデスノート王国――本当にデスノートに近い漫画は
かなり遅めの話題ですが、『STUDIO VOICE』の漫画特集の話です。
聞いた話によると、結構売れてるみたいですね。
STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 09月号 [雑誌] | |
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この中でいずみのはデスノート論なのやらネウロ論なのやらどちらとも言えない感じのコラムを書かせて頂いたわけですが、そこでは「デスノと共通点のある少年漫画」として、「横山光輝の伊賀の影丸とかバビル2世」を挙げていたりします。
デスノートのような、何でもアリの知略戦をテーマにした漫画の場合、荒木飛呂彦や福本伸行の能力バトル漫画/ギャンブル漫画をその原点として語る人が多かったように思うのですが、古い漫画だとむしろ横山光輝じゃないか、と。
主人公があんまり善人っぽく見えない所とか、傍目からはみっともないくらいの泥仕合が延々と繰り返される(良い言い方をすると「息もつかせぬ丁々発止の駆け引きが繰り広げられる」)所とか。
デスノートの魅力も、なんだかんだ言って「月とLのヒドい泥仕合っぷり」だったんじゃないでしょうか。相手にトドメをさせそうになった寸前で、妙な油断やうっかりが原因でチャンスを逃したりする時の感覚なんかも近いモノを感じます。
しかし、『バビル2世』など以上にデスノート的な漫画も存在することも、後になって気付いたのです。
それは――『野望の王国』です。
『DEATHNOTE』と『野望の王国』の共通点箇条書き
- 主人公は頭脳明晰でスポーツ万能でイケメンの若きエリートである
- 主人公は暴力によって世界を支配するという野望がある
- 主人公は親族殺しを行う
- 主人公には、必ず殺さなければならない宿敵が存在しているが、その宿敵とは表向き仲間関係にある(同じ組織の中に所属している)
- その宿敵を消そうとすることで、かえって自分の立場が危うくなっていくのは明白なのだが、それでも殺そうとすることをやめない
- その宿敵も、主人公が真の敵であることに勘付いており、互いの腹を探りながら、水面下では敵対している
- 主人公には熱狂的な部下や協力者が居る
- 主人公は警察組織に入り込んで、自分の目的に利用しようとする
- 物語が進むにつれ、宿敵だけでなく第三勢力とも戦うことになる(その時は宿敵とも協力する)
- やっぱり泥仕合がひどい。どんでんがえしの繰り返しが延々続く
- やっぱり油断やうっかりによる作戦ミスが多い
- 人が沢山死ぬ。何か問題が起こるとすぐ殺す。「展開に行き詰まったらとりあえず殺してパワーバランスをリセット」が基本
- 最後に宗教が出てくる
- ネームが長い(原作者付きの漫画はそうなりがちか?)
- パロディネタにしやすい
- キャラクターの行動が基本的に無様で滑稽
- キャラクターの顔面芸が主な見所
- ギャグマンガである
というわけで、今後は「小畑健の絵柄でサルまんを描くのがウケる!」というのと「大場つぐみは漫画原作者界の重鎮になるであろう」ということが予想されそうです(されません)。
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