『月詠 -MOON PHASE-』第6〜9話
- 第1〜5話の感想:id:izumino:20041110#p1
今世紀から多く見られる「1クール深夜アニメ」の宿命は、13話というその帯に短し襷に長しな話数に関する問題であって、長編ストーリーを描こうとするには短く(TVアニメでは最低26話は要ると良く言われる)どうしても詰め込みすぎあるいは寸詰まりな作品にしてしまうというのと、反対にワン・アイディア/コンセプト重視なOVA的掌編を作ろうにしても長すぎ(OVAならば3〜8話分程度が理想的と思われる)薄味あるいは中弛みを増やしてしまう結果になりがちだということです。
この掌編と長編の中間を取った「中編的アニメ」というものをうまく作るのはどうも難しいらしく、いくつか成功例はあると思うのですが、ぼくが観てきた中では『GUNSLINGER GIRL』くらいでしょうか。*1あとは、計算上7話+6話のアニメを組み合わせて放送した『シスター・プリンセス Re Pure』や一時流行った「15分1クールアニメ」(実質6話)は特殊な例としましょう。
とまぁ前振りが長くなってしまいましたが、ここまではただのおさらい。
1〜8話全てのオープニングの絵の一部を毎回差し替え、普通はクールの変わり目で行うようなOPテーマ変更を9話目において実行した(多分10話以降もちょこちょこ変わるんだと思う)「月詠」は、色々手を変えて工夫していて感心するなぁ、という話。
ストーリー的にも「無いも同然」と言われておきながら、アクションホラーとホームコメディとネコミミ萌えを巡る物語(一応物語になってんだよな、このみっつは)を目まぐるしく往復させてみたり、一話ごとのフィルムを取ってみても、純粋なアニメーションやCGアニメーション、カメラレイアウトの遊びのみならず画面の色指定までに「視覚的変化」を付けることに拘ってみせたりと、リミテッドな状況下でとにかく「飽きない」作りを志向していて好感が持てます。アイキャッチやエンドカード、次回予告のマイナーチェンジなんてのは勿論言わずもがな。
特に原作が原作なので*2ストーリー性を突き詰めるわけにもいかず、こうせざるをえない、という側面もあるでしょうが、ここまで徹底的に凝ってくれると観る側も観甲斐があるというものです。
それでもストーリーはやっぱり薄い。ネコミミをホラーの世界からホームへ取り戻すまでの物語。