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最近読んだ少女漫画

成田美名子『CIPHER』全11巻(白泉社花とゆめコミックス

 1985年〜1990年『月刊LaLa』連載。
 ギッシリ画面に詰め込まれたアメリカの街並みや小物類の精密な作画にまず驚かされる、ニューヨークの双子の役者シヴァとサイファ、そしてサイファの恋人アニスのストーリー。
 このアメリカの作画って、当時にしてどうやって資料集めしてたんだろうとか思うくらい一々細かいんですが、その漫画描きとしてのこだわりっぷりには頭が下がります。
 物語後半になって、レヴァインとハル(それぞれシヴァとサイファの男友達)が登場してきた辺りからが面白くなります。序盤以外の影薄いよアニス(一応最後まで重要キャラ扱いされてるけど)。

柊あおい星の瞳のシルエット』全10巻(集英社りぼんコミックス)

 1985年〜1989年『りぼん』連載。
 ぼくは80年代の「王道」少女漫画を実は読んだことが無かったので、めっちゃ勉強になりました。うおおおもしれえ。恋愛ドラマってここまでこじれるものなのかと呆れ果て……いや心を打たれるばかり。ちなみに連載当時のキャッチコピーは「一千万乙女の恋のバイブル!!!」「もう毎号クライマックス!」だったそうです。特に後者のコピーには納得。典型的な「全員腹を割って話し合えば解決するだろ」的な話ですな。それができないからこじれるんだけど。
 『CIPHER』が「男同士の友情と恋愛を両立させる話」だとしたら星シルはその逆で、「女同士の友情と恋愛を両立させる話」なんですね。そういや『CIPHER』はボーイズラブスレスレな表現が連発するんですが、星シルも今読めば結構百合変換させて読めるような……。
 サブキャラの沙樹と司のカップリングが凄い好みでした(いやこっちは女×男だけど)。

吉住渉ハンサムな彼女』全9巻(集英社りぼんコミックス)

 1988年〜1992年『りぼん』連載。
 吉住渉の凄いところは「オシャレで美人で可愛い美少女」をてらいもなく少女漫画のヒロインにしてしまえる所で、特にこの『ハンサムな彼女』はその吉住テイストの真骨頂が出ている作品だと評価したい次第です。ヒロインの未央が可愛すぎ。
 ぶっちゃけ『ミントな僕ら』の主人公、のえるよりも可愛いですよ! 比較対象が変ですが気にしないように。*1
 「絵に描いたような美少女」は一部の女性読者に嫌われる傾向があるそうで、実際未央も少なからず反感を買っていたみたいですが、それを上回る魅力を醸し出しているのが吉住マジックでしょうか。多分、女の子読者もヒロインになりきって感情移入するよりも見守るように憧れたり可愛がったりして読んでたんじゃないかな(それこそ、女優という「憧れの職業」のキャラクターでもあるし)。だからこそ男の子読者にとっても読みやすい漫画だと言えるんですが……。
 そういった読まれ方を積極的に狙ったのがまぁ、CLAMPの『カードキャプターさくら』(1996年〜2000年)なんでしょうけどね。

  • 余談

 『りぼん』読者だったという結城忍(id:y_shinobu)氏と恒例の電話でバカ話。


「正直誰か星シルの司×沙樹本を出してくれないかと思っていた」
「それを言うなら俺も一也×未央本をかなり期待しながら読んでたよ」


 男性的な意見で恐縮ですが読みたいんですエロを
 こう、初々しい感じの甘ったるいやつをですね!
 やおいのエロ同人はあれだけ多いのに、なんで少女漫画のエロパロは少ないんでしょうか。男性作家が描かない理由は明白なんですが(※アニメで人気が出ないと男性向けは売れない)。

*1:のえるは男の子