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赤松健『魔法先生ネギま!』の読み方(5時間目)

izumino2004-11-06

今週の『魔法先生ネギま!』73時間目

 単行本9巻の第2話にあたる、クラスメート編の続き。学園祭への伏線張りとネギの日常生活への引き戻しを手早くやってます。
 手早く、というのも結構勢いで流してる感じはあるんですが。
 しかし学園コメディの作り方に格段の進歩が見られて面白いです。今回はそこを見ていきましょう。


 かれこれ一年半以上の連載を経ることでクラスメート達のプロフィールもほぼ出揃い、「ヒロイン30人」という大人数に司会や解説やボケやツッコミをそれぞれうまく振り分けることで、『ラブひな』の頃のドタバタギャグ(前述した星くずパラダイス』的なもの)とはまた違ったギャグの形式に発展させていることを評価してもいいでしょう。
 ちょっとキャラクターの役割分担を表にまとめてみると、こんな感じでしょうか。*1
※)これはまだ適当な振り分けで、実際はもう少し流動的なものだと思います

学園コメディ

 「司会」が三人も居る! 『ラブひな』ではキツネが一人で担当していた司会役ですが、この複合スタイルが妙な勢いを生んでいて、それもノリと迫力だけの裕奈、策士でニュートラルな朝倉、割と身内贔屓しがちなパル、とキャラの個性が使い分けられていて面白い。ボケとツッコミも複数存在する上、脇のサポートやフォロー用の人材も充実。
 興味深いのは、学園コメディから離れてラブコメ路線やファンタジー路線に推移した場合、主要人物が絞り込まれるだけでなく、役割分担も微妙に変化しているという点です。

ブコメ

バトル

 ラブコメパートになると裕奈が目立たなくなったり、カモが司会と解説を奪っていたり。どちらも絡める人数が学園パートに比べて少な目なんですが、特にバトルパートになると主要人物がガラっと入れ替わります。*2
 このように人物関係が多層構造になっていて人物相関図とかどう書くんだろうと心配するくらいですが、それでもゴチャゴチャした印象をあまり受けないのは、各パート自体が色分けされているのと、そのパートの中における明確な役割や立ち位置を各キャラクターに与えられているからでしょう。
 そしてどのパートにおいてもこれといった立ち位置をまだ与えられていない(人物紹介が済んでない)のが春日美空超鈴音相坂さよザジ・レニーデイの四名あたり。これは逆に言うと「27人のクラスメートには立ち位置が与えられている」ということですから、かなりとんでもない仕事をしていることが解ります。
 無闇に31人のヒロインを持て余した、伊達で大人数を抱えた漫画ではないわけです。


 翻して言えば、「長期連載漫画」の特性をフルに活かした原作に対して、アニメ版の『魔法先生ネギま!』(来年1月から放送、監督は宮崎なぎさ)はどういう仕事をしてキャラを表現するのか、ということに注目する楽しみもあるでしょう。少なくとも1クール、2クール程度のTVアニメでは、現在のネギまのようなキャラ配置は不可能な筈ですから。

*1:といっても、キャラ名を暗記してない人にとってはわけのわからん表でしょうが

*2:ネギまに「寄り道」が多い理由は、舞台を複数用意しないとキャラクターを立たせきれないからという理由がメインとも言える