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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

よしながふみ『西洋骨董洋菓子店』4巻(ISBN:4403616909)

 やっとシリーズ読了。あー面白かった。
 レギュラー4人の友情ともなんとも言えない信頼関係が見ていて気持ちいい。色々あるんだけどみんないいやつばっかりだ。好きな順番で言うと「橘さん>小野>エイジ>千影」。あとでこちゃん。でこちゃんはエイジとくっついて良し。
 この「友情ともなんとも言えない」というのは、やはり女性作家が描いているからではないかと思わなくもなくて、男性が描くと「友情」や「師弟愛」に固定されちゃうんじゃないかなという気もします。
 もちろんここで描かれているのは恋愛でもないわけで、そういう、恋愛でも友情でもない微妙な感覚っていうのが、最近の「ソフト百合」にも繋がる女性的な感性なんじゃないでしょうか。


 話は逸れますけど、「百合の定義」でモメてしまう原因は、人間同士の関係を表現する語彙がそもそも貧困だからなんでしょうね。愛だとか友情だとか、そんなデジタルなもんじゃないでしょ、っていう。かといって代わりになる語彙が豊富なわけでもない。
 だから『西洋骨董洋菓子店』という漫画は、その女性的な感性を持ち込むことで、男同士の関係を「ボーイズラブ←→友情」というラインから脱線させることを試みた作品のひとつなんじゃないかなー、と思います。