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島崎譲『THE STAR』全24巻

izumino2004-04-15

 カレイドスター放送当時に、結城(id:y_shinobu)さんが薦めてくれていた漫画。
 週刊少年マガジン連載作品。天才的な役者の才能を持った日本青年が、素人から世界一のスターへと登り詰めていくサクセスストーリー。
 ……サクセス、といっても初期の段階で主人公は役者として大成しちゃってるので、そこから先はひたすら舞台のスケールをデカくしてインフレを拡大させるしかない。*1主人公をどんどん「すごく」見せていく為には「天才」という修飾では足りなくなってきて、「神の演技」、「奇跡の演技」と呼ばれるようになるわ、集団催眠を起こせるようになるわで、最終的には演技で戦争を止めれるようになる、と。すげえ(笑)。


 なるほど、結城さんはこのラストを下敷きにしてカレイドスターの感動的な結末に期待していたのだな、と納得。似てるシチュエーションも多いですし。
 印象的なのは作者のあとがきですね。

 
芸能界ものはどう考えても少女漫画の題材です。それをいかに少年誌向きに表現してゆくかが最大の難問でありました。


それを克服するために自分にできるありとあらゆる手段と実験を試み熱血感動スター路線という・・・・・(!?)たぶん、少年誌としてははじめてのジャンルを開拓したと自負しております。
 

 こういったパイオニア意識や、熱血路線という「王道」に殉じることを良しとする精神は、確かにカレイドスターのスタッフ達に通じる所があると思います(カレイドスタッフの注目すべき業績は、「子供番組」と「萌えアニメ」の越境と縁組を果たしたという点でしょう)。


 あと、やたらと実在のアイドルや名優や大監督をモデルにしたキャラクターが登場して物語のアテウマにされちゃう(みんな主人公に心酔する係。中森明菜とか勝新とか松田優作とかクロサワとかコッポラとかが出てきます)辺りは、いかにも流行性重視なマガジン編集部っぽいですね。

*1:どのくらいインフレするかというと、日本人なのにハリウッド映画の主演に抜擢されたり、格闘技の素人なのに最強の拳法家とガチ勝負して勝ったりする