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今野緒雪『マリア様がみてる チャオ・ソレッラ!』(ISBN:4086003996)

 こんな内容*1の小説が出版できるということが、凄まじい。これが少女小説の世界というものですか。
 シリーズ全体の中の一冊としてはアリだと思います。面白いし、スマートに「読ませる」部分もありました。
 では印象に残ったポイントを列挙。

  • エス小説のヒロインが受胎告知の絵画に見入る、というのは色々と倒錯的な隠喩だなあ。処女懐胎
  • あ、祐巳は祥子にマリアを投影しているわけだが、すると「主→聖母→子」=「蓉子→祥子→祐巳」、つまり祐巳さまは神の子なんだよ! 冗談ですが
  • 祐巳の視点ではまったくと言っていいほど意識されてなかったが、由乃祐巳以外の全員?)から見て瞳子は妹候補に映るらしい
  • やっぱり黄薔薇ファミリーは「スール制度そのものの問題」を補強する為の存在っていう感じだな。今回はロザリオにまつわる謎を解説してくれました
  • 祥子視点が初めて登場。この人の視界はいつもこんな様子なのかもしれない
  • 旅行の描写がリアリティを重視している所為で、リリアンのファンタジーっぽさ(現実感ギリギリのありえなさ、みたいな)がちと崩れちゃってる印象も
  • あとがきの「たまには、こういうお話があってもいいでしょう」というのは、内容のレベル云々を言い訳してるんじゃなくて、リリアンの物語世界が現実世界と触れ合ってしまうことについて、それはシリーズにおいてイレギュラーな現象なんだと伝えたいのかもしれない
  • そしてその現実感の象徴が、トイレなわけだが(しつこいネタ)

*1:ネタ的には雑誌の企画ページみたいなレベルだと思う