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マリみて妄想〜スール制度の対等性について〜

 いつもの、くだらないことを真面目に考察するシリーズです。
 セクシュアルな視点においてスール制度が画期的なのは、「理想的な対等の愛情」をある程度実現させているからだと思います。
 今まで、色んな場所で「真に対等な愛情を描くことは可能か?」という問いがなされてきましたが、スール制度はそこに新しいアンサーを用意できたと言ってもいいのではないでしょうか。


 まず異性愛ディスコースにおいては、どう言いつくろっても「対等の関係」を築けというのは無理な話で、まぁだからこそドラマも生まれるんでしょうけどとにかく性差がずっと邪魔をしている、と。
 創作世界における「やおい」や「百合」などの同性愛ディスコースであっても、基本的に「異性愛の模倣」であるケースが殆どで、「受け攻め」や「ネコタチ」といった「男役と女役」に区別しなければならなかったと。


 ではスール制度はどうなのかというと、それこそ「姉→妹」という上下の役割がはっきりした関係だと思われるかもしれませんが、それは局所的な見方というものです。注目しなければならないのは、スール制度は「一対一の関係ではなく一対二の関係*1」であり、「全ての姉は、姉であると同時に常に妹として生きている」という点でしょう。
 ≪姉(妹)→姉(妹)→姉(妹)→妹・・・≫と、連続した関係性を大局的に見た場合、各個人は共時的に対等である、とも言えるのではないでしょうか。


 他のジャンルの恋愛モノと比較してマリみてが特権的なのはまさにこの点で、もっと特記されていいテーマだと思います。

  • 余談1

 逆に、最近の(スール制度を持ちえない筈の)ガールズラブは「ネコタチ」などの上下関係を曖昧にする作風が多く、また、そうした作品が良作とされることも多いみたいです。これも「理想的な対等の愛情」を模索した傾向と言えるのかな。

  • 余談2

 ヴィジュアル面に欠ける話ではありますが、現実で「フケ専」と呼ばれる一部のホモセクシャルの世界は、かなり対等で深い愛情を築けるケースが多いそうです。女性同性愛者よりも男性同性愛者の方が上下関係を必要としていないのかもしれない、という分析をする人も居ます。

*1:卒業すれば一対三や一対四の関係もありうる