HOME : リクィド・ファイア
 移行後のはてなブログ:izumino’s note

乙一『ZOO』(ISBN:4087745341)

 半年前に出た短編集ですね。
 傑作・「SEVEN ROOMS」を除けば、中くらいの作品が寄り集まっている感じです。全体の統一感が弱く感じるのは、実験色の強い作品が多いからかもしれません。登場人物の呼称が「俺」とか「サラリーマン」とか名前の無いキャラばっかりな所も、ほのかにショートショート作品の香りが。
 個人的に読んでモトが取れたと思ったのは、「カザリとヨーコ」「陽だまりの詩」「落ちる飛行機の中で」あたり。


 この本は収録の順番でソンをしているところがあって、それで散漫な印象を与えてるんじゃないかなあと思います。下手に並び替えたりせずに、雑誌掲載順に編集した方が良かったのでは。特に「ZOO」の後に「SEVEN ROOMS」があるのはどうだろう。「陽だまりの詩」→「SEVEN ROOMS」→「ZOO」→「落ちる飛行機の中で」で締めるのが良かったんじゃないかな……って、なんかミュージック・アルバムの感想文書いてるみたいですね。
 乙一は短編が多いので、遊び企画として“私の考えた短編集の目次”とかやると面白いかもしれません*1。最近出た『失はれる物語』(ISBN:4048735004)はまさにその、出版者側の模範解答というようで、評判もいいですね。

*1:ロックフリークが良くやるような“俺が考えたベスト・アルバム”みたいなノリ