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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

『マリア様がみてる』はやおいの裏返し(ARTIFACT)

 そうなんですか。
 その指摘なら、だいぶ前からこの日記で……。『百合姉妹』の創刊時から言ってたことですよ(というか、百合姉妹の編集者がはっきりとそう主張している。ボーイズラブ作家の生の意見もあるようです)。
 付け加えるに、正確には「ソフトBLの裏返し」でしょう。ソフトBLがうまく「やおい文脈」をズラしているように、マリみてもうまくスライドさせることに成功していると思います。
 むしろその先の疑問が未解決でして、「何故ボーイズラブのシステムを男性読者が受容できるのか?」という問題ですね。


 これは以前結城(id:y_shinobu)さんが言ってた「グリーンウッドブーム」との比較が解りやすく、面白かったです。
 以下はその引用ですが。


 それは兎も角、『いとしき歳月』迄読んで思ったこと。


ああ、これはGWなんだな。 …と。


 キャラの配置、展開など本当にそのまんま。やおい(こちらでは百合)に走らないところとかも。別にパクリだといっているわけでなく、「そういう作品」だからこそ男もすんなり入っていけるんだろうなぁ、と。10年もの期間が経てば温故知新、ブームは繰り返すというか。しかも今回は女子高。GWは男子高だからなぁ(爆)

 そういう意味ではマリみてというのは男(同人作家・読者)が手に入れた初めてのジャンルなのでしょう。だからこそ盛り上がるし、逆に扱い方が判らなくて右往左往する、という。(最初はエロが希少だったり、とかね)

 多分、少女漫画とかやおいっていうのは今更特記するまでもなく、充分男性にとって受容可能なアイテムなんですよね。今は大半がハードすぎたり、目先のとっつきやすさが無いだけで。思い返せば、ぼくもエヴァやおいSSとか好きで読んでたなあ、とか。

 今のマリみてブームっていうのは、「ネットによる強力な口コミ」のせいで、そういった「素養」のある読者も無い読者も一斉にハマってしまった所に混乱があるんだと思います。
 マリみては単体の「少女小説」としても非常に完成度が高いですから(あと、結城さんも書いているように、「安易なやおい/百合」に走らないから)、やおいの素養が無くても面白く読むことができますし、そういう人ほど「なぜ自分は面白いと思ったのか」の答え探しに奔走するでしょう(その延長として二次創作がある)。
 逆に少女漫画や少女小説に読み慣れてる人ほど、マリみてに対してクールな反応を返すことが多いようですね(男女問わずそういう傾向があるみたいです)。これは、「やおい的なもの」が単なる1ジャンル=好みの問題に過ぎないと知っているからじゃないでしょうか。

  • 2004年1月23日追記

 最近は「少女漫画や少女小説に読み慣れてる人」でも、マリみてに特別な思い入れを注ぐ人達が居ることも分かってきました。