コミPo!の発展のために必要なこと
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コミPo!の使い道
漫画シーケンサー、漫画界の初音ミク、ワープロなど、ツールとしての存在価値を説明する言葉は多くありますが、具体的な「使い道」を獲得するまでの道のりはまだまだ険しそうなのが現時点のコミPo!ではないかと思います。
まず期待できるのは、ブロガーによる利用ですね。
絵日記ならぬ、エッセイコミックのような目的でコミPo!が利用されることは想定しているようで、ぼくもまずはそっちかなと。
ブログなら漫画の形式よりも、中身の情報で勝負できるので、最初のうちは「漫画としてうまくなくてもいい」という方便が利くのもメリットでしょうか。
ただ、ブロガーにとって登場させやすいアバターというか、シェアしやすいキャラクターのモデルが不足しているのが現時点のネック。
具体的に言ってしまえば、「やる夫」と「やらない夫」のモデルが供給されれば一気にブレイクしそうな気がしますね。
コミPo!が独自の発展を遂げるには?
ぼくのイメージだと、コミPo!は「ふつうの漫画」を書くことはできないツールであって、ユニークに進化した漫画の世界が出来上がる可能性の方が高い、と考えています。
そのようなものでも、「ふつうの漫画」の世界にフィードバックを起こす段階にまでなれば面白いかもしれません。
ところで、角川グループの角川歴彦会長が唱えていた概念に、ソーシャルコンテンツとプレミアコンテンツという分け方があります。
プレミアコンテンツがふつうの「商品」で、送り手から受け手へと一方向的に提供されるコンテンツ。
ソーシャルコンテンツは受け手と送り手が渾然一体となって、文化ごと作品をシェアするコンテンツ、という感じでしょうか。
MSNのガイドコミックという商用の例もありますが、まだ商業価値が強くはないコミPo!は、まずソーシャルメディアとして普及する必要があると考えられます。
ならば、「このコマの使い方は上手い」「このコマはこう変えた方がいいんじゃね?」みたいなコメントを付けやすい、コミュニケーションシステムのインフラが欠かせないのかもしれません。
ニコニコ動画とまではいかなくても、お絵かき掲示板文化みたいなものの醸成が不可欠なんでしょうね。
コミPo!が「ふつうの漫画」になれない理由
CGであること、フルカラーが前提であること、キャラが限られていることなど、コミPo!は一般にイメージされる「漫画」が描けないツールなので、ふつうの漫画の技術が通用しないし、独自の技術の成熟が今後必要になってきます。
オバケ(運動によって人物や物体のかたちが歪む表現)が使えない、キャラの表情やタッチが変化しない、などもかなり表現の幅を狭めていますから、「それでも自然に読める」フォーマットをいかに作っていくかが課題です。
発展のためのインフラを考えてみる
pixivタグでも投稿されていますが、いかんせんpixivでは一般のイラストや漫画の中で埋もれていくイメージがあります。
ふたばのような形式で、コミPo!専用スレみたいなものがあるといいかもしれませんね。
コメントの付く共有場所としては、集客力のあるJコミのサイト内でコミPo!コーナーが設けられたら理想的かもしれません。
Jコミの新しいコミックビューワーは読者が自由にコメントできるシステムだそうですし。
技術の発展のための近道
キラーコンテンツやキラー作家が存在しないことがコミPo!文化の問題だとも言えます。
プロ漫画家に習作を作ってもらったりもしていますが、まだ「コミPo!の人気作・人気シリーズ・人気作家」は出ていない状況ではないでしょうか。
深水:3Dモデリングデータをインポートしたりはできるんでしょうか?
田中:えーとですね、発売してから何か月後になるかわからないですけど、わりと早いうちにできるようになりますので。
深水:ユーザー自身が好きなデータを取り込めるようになる?
田中:ネット上に転がっているいろんなモデリングデータも、フォーマットなどの条件が合うものは取り込めるようになります。
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さっきはやる夫を例に出しましたが、公式のこみぽちゃん以外にもソーシャルに共有可能なキャラクターがいてほしいですし、オリジナルモデルのキャラクターで人気を博す作家も必要なはず。
単刀直入に、有効そうな戦略を考えてみましょう。
それは、『するめいか』のルーツ氏とするめいかモデルを共同制作して、ルーツ氏自身に『するめいか』の制作実験を繰り返してもらうこと!
かぎられたリソースを最大限にかつ前衛的に利用してユニークな作品を作り上げるセンスは、ニコニコ動画の自主制作アニメシリーズ「するめいか」で実証されていますしね。
するめいかモデルを一般にも配布する必要はありませんが、「コミPo!の漫画の描き方」はその中で発達していって、シェアできる財産になるのではと思います。
もっとも、ルーツ氏というのはあくまで思い付きの一例です。しかし、そういうアプローチも見てみたいものですね。どうでしょうか?