漫画的にキマった構図の気持ちよさ/ネットで読める『みかこさん』
最近(今更)、モーニングを読んでいて気付いたんですが、
『みかこさん』 今日マチ子 - #198 のばした手 (講談社「e-1day」)
今日マチ子さんの漫画がネットで読めるのっていいですね。
しかもクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを適用させてるみたいで、ブログでのページの引用もOKとのこと。
うーん、これは漫画論者の悲願である「自分のサイトで漫画のページを見せながら漫画を語る」ことがやりやすくなったってことだぞ……(今までも「引用の範囲内」でやってたことではありますが)。
というわけで、好奇心も兼ねて一丁張ってみます。
左のページは雑誌で読んだ時にも「おっ」と思いましたけど、おもしろい。
天地軸を90度回転させることで、「上のキャラから下のキャラへの」自然な重力が感じられるようになって、《彼女の口から/言葉が落ちてくるのを》というナレーションの「落ちてくる」という言葉通り、上から降りてくる言葉を下で受け止めるような気持ちになれるレイアウトになっている。
気持ちの比喩でしょうけど、髪の毛も下向きにたなびいてるように描かれてますね。
一枚のページが縦長になっている、漫画ならではのレイアウトでもありますね。映画とかだと、絵をパンさせるか、フレームを狭くして使うしかない。
このレイアウトから感じられることはもうひとつあって、それは「縦にキャラクターが並んだ場合、下側のキャラが読者の視点になりやすい」という……泉信行が「視線の力学」で挙げていた原理が確かめられるという所。
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「下側のワク線を背負ってるキャラ」の方が安定していて、読者も視線を預けやすい。
なので、この場合はナレーターでもある「みかこさん」の主観に入っていきやすい構図になっています。
そんな視点的な効果と、「言葉が落ちてくる」という比喩の効果も同時に成り立っているというのが、いいなぁ、キマってますなぁと感じるページでした。