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読書録/ドストエフスキー『地下室の手記』(安岡治子・訳、光文社)

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安岡 治子

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  • 旧訳と新訳では語り手の一人称が違うんですね(ぼく→俺)
  • 「俺」に変えたのは英断だと思います、語り手の性格の悪さ(小人物っぷり)が露骨に出ていて
    • 多くの文学作品に共通の問題ですが、「文学」と呼ばれるものの多くは「高尚」でも「難解」でもなくて、かなり身も蓋も無い内容だったり、泥臭かったりするもんなんですよね

世界の電波男 〜 喪男の文学史世界の電波男 〜 喪男の文学史
本田 透

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 入門用というか、エンタメとして楽しんで読むには『世界の電波男 〜 喪男の文学史』から入るのがいいのですが、ガチで勉強しようとも思うので研究書の類にも目を通すことにするつもりです。


 それにしても、「ドストエフスキー始まったな」というか、ドストエフスキーから始まったモチーフやテーマというものがいかに大きく広がって現在に影を落としているのかという。
 大雑把に見ると、とりあえず漫画界においては「漫画版『罪と罰』のラストに多声性*1を持ち込んだ手塚治虫」と「文学青年としての原作者・梶原一騎」の両巨頭がいて、それらのラインの延長に浦沢直樹がいる感じ、ですかね。

*1:この「多声性(ポリフォニー)」という概念がまたわけのわからんもんなので文学論を「難解」なものにしているわけだが