「ことば」とは何か? を本で学ぶ
新書を買いました。
日本語の奇跡―〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明 (新潮新書 244) 山口 謠司 新潮社 2007-12 売り上げランキング : 74794 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ヨーロッパ、中近東、インド、中国など、文明を創り上げて来た国々の言語と、トルコ語、モンゴル語、朝鮮語、日本語といった膠着語との間で、「借用語」の比率を調べてみると、興味深いことがわかる。膠着語の文法体系を持った言語は、借用語率が非常に高いのである。
(中略)
このような言語的特徴を持つ膠着語は、結果として、文明と文明とをつなぐ架け橋の役割を果たしてきた。
人間の心にとって「言葉」は、コンピュータにとってのOSのようなものです。
OSなので、あくまで見かけ上のインターフェイスでしかないわけですね。効率良く、操作しやすくシステム化されているぶん、バックグラウンドでどういう挙動をしているのかは、表面からは察しにくくなっています。
OSは複雑になればなるほど、そして利便性を高めようとすればするほど、システムとしてのブラックボックスは膨らんでいき、「実際のコンピュータの動き」とはかけ離れていきます(Windowsがまさにそうであるように)。それと同じく、「言葉」も複雑化と利便化が進めば進むほど、人間の本質を覆い隠す方向に進化してしまいます。
コンピュータも「マシン語」を使ってダイレクトに操作することができるように、人間の心も「身体言語」のようなものを使ってダイレクトに動かすのが本来の在り方だったのでしょう。でもかといって、今さら「言葉」というオペレーションシステムを捨てるわけにもいきません。
では、我々が使っている「言葉」の仕組みや成立過程を解きほぐし、システム上のブラックボックスを開けていくことが「本質」を離さないためには必要ではないのか。言葉をただの「インターフェイス」として用いることに安んじていてはダメで、「ここをこうしたらこうなるのは、こういう仕組みがあるからだ」とか「元々はこうだったのが、今はこうなったのだ」といった理解が欲しくなります。
そんな風に考えていて、余暇があれば「日本語」や「言語学」関連の本を蓄積的に読むようにしています。軽く読める、新書本が中心ですが……。
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欧米で書かれた言語学の本としては、この二冊が二強ですね。
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中国語(漢字)と日本語の関わりについて書かれた本としてはこの三冊が良くって、今回読んだ『日本語の奇跡』は「四冊目」に加えたい所です。
『日本語の奇跡』は、「漢字と日本語」の関係だけではなく「サンスクリット語と日本語」の関係を説明していたのが新鮮でした。
「カタカナ/ひらがな」の成立や「五十音」の発明にとって、サンスクリット語は大きな存在であったことが良くわかります。常識的な先入観として「漢字が簡略化されたのが仮名なのだ」というイメージが強いのですが、実際はそう単純な流れではなかったようですね。
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これらの本も「言葉の仕組み」を知る上で価値のあるものだと思います。
あと日本の言霊信仰や、「アイウエオ」の発生については清水豊さんの本から入りました。これも本格的に知ろうとすれば、奥の深い世界なんでしょう。
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専門的に言語学を勉強しようという所まではいかないのですが、こういう風にして知見を蓄積していくと、言葉に対する理解に「厚み」が出てくるような実感はあります。他にもいい本があったら教えてください。