読書
- 色川武大『明日泣く』
- 色川武大『いずれ我が身も』
- 阿佐田哲也『ドサ健ばくち地獄(上)』
- 阿佐田哲也『ドサ健ばくち地獄(下)』
- ロバート・V・ブルース『孤独の克服 グラハム・ベルの生涯』
「孤独の克服」は絶版本で、わざわざ古本を通販で取り寄せて読んだんですが、なんでそこまでして読もうとしたのかというと、正高信男『天才はなぜ生まれるか』という本の中に描かれていた、グラハム・ベル(電話の発明者です)の人物像に興味を持っていたからです。
『天才はなぜ生まれるか』という本は、その内容自体は面白いんですけど、筆者の主張における物証や論拠には「かなり」乏しい本だ……という印象があって。*1
んでこれがまた、一次資料としての伝記にあたってみるとですね、ホントにデタラメに書いてることが判明しましてね、うわぁって感じ。
正高氏はグラハム・ベルを「付き合いべたなベル」と称して、コミュニケーション障害を負った人として扱っている上、その「他人に対する思いやりの無さ」故に、夫人にも愛想を尽かされていたのは間違いあるまい……、みたいな調子で断言してるんですが、伝記を読む限りは、そういう側面は見えてこないわけですね。どう好意的に見ても、正高氏の独自解釈による「つくり話」が先走り過ぎている感じです(ベルの孤独癖が強かったのは確かみたいですが、社交能力自体は申し分無く優れていて、夫婦仲も並以上に良かったものと思われます)。
これってヘタすると、遺族に名誉毀損で怒られちゃうような話では? と心配になったりも。『天才は〜』の読者が事実関係を確かめようにも、肝心の一次資料が絶版で入手困難、というのもまたアレです。
まぁ視点を変えれば、安倍晴明が美青年の超能力者にされたり、佐々木小次郎が聾唖の剣客にされちゃったり、みたいな「歴史上のキャラが育っていく過程」を垣間見ているような感じ*2ではあるのですが……、それとこれとは話が別ですよね。
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