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『「姉ゲーム」大全 完全保存版―僕たちの大好きな姉キャラが大集合!!』

izumino2004-12-08

 ちょっと遅れましたがレビューです。
 これもいい本ですな。
 紙面を眺めていて「姉はいいなあ」という脳直な感情しか湧いてきません。腑抜けになるなコレは。
 「妹」と「鬼畜」が「自己の萌えを問い詰めよ、突き詰めよ」「理論武装せよ」というベクトルを抱えた内容だったことに反し、「姉」は「考えるな、バカになれ」というメッセージが込められた本だと解釈できるでしょう。
 妹萌えというのは「近親姦であること」以上に、「年下の無垢で弱い存在との恋愛であること」や「単なるロリコン」といった負の問題が常に付きまとっていて、その責任やジレンマも年長者である「男の側」が背負わないといけないという点で実は「癒し」や「現実逃避」になっているかというと……完全にはそうでないと言えると思うんですよね。
 ロリコンの多くがインテリかインテリ崩れであることもまた、その証左。妹萌えが茨の道であることは、「妹ゲーム大全」の続編として「鬼畜ゲーム大全」が執筆されていることからも明らかです。


 されど姉萌えは姉=年長者=人生経験豊富=強者であるが故に、そんな責任は全部お姉ちゃんが被ってくれるという点で完全な癒しや現実逃避足りえる公算が高い。姉萌えに文学青年的苦悩は無縁!
 負の問題としては「甘やかされすぎてダメになってしまう」ことくらいですが、ダメになった弟に責任を感じて叱りつけ、立ち直らせようとしてくれるのもまた姉なのです。*1
 まさに「姉しょ」広告のキャッチに「現実に疲れたら、いらっしゃい」とあるように「理論武装に疲れたら、いらっしゃい」な内容。テキストコラムもお堅いコト抜きなソフトな内容で姉萌えを励賛するばかりだし、まぁ読み応えが無いといえば無いけど本書的にはそれで充分でしょう。
 本当に「姉はいいなあ」というそれだけで他に語る所の無い本で、こういう純粋性がむしろ「妹」「鬼畜」の間にあったジレンマを中和しうるんじゃないでしょうか。テーマ的な締めくくりの本としては良書だと思います。
 
 ただ個人的に惜しいと思ったのは「甘やかしキャラ」としての姉属性が前面化されているのに対して、「弟に乗り越えられるべき目標」としての姉属性はあまり取り上げられてなかった所、くらいかな。 こう、ビルドゥングス・ロマン的な。「姉しょ」は多分にその要素が含まれるタイトルだったと思んですけどね。
 まぁ、姉属性という一種の「型」は、その中身のバリエーションに富みやすい……、という解説があるのでそのバリエーションの内に含まれる、ということなんでしょう。バリエーションという意味では、姉ゲーのブームは始まってまだ歴史が浅いですしね。

姉ゲーム大全 (INFOREST MOOK Animeted Angels MANIA)

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ところでこのレビューの最大のツッコみ所は

 いずみのがギャルゲーを両手の指で数えられる程度しか遊んだことがないという点。
 いや、TVゲームアレルギーなもんで……。最近マシになったけどクリアしたりコンプしようと思う所まではいかない。ギャルゲーは絵とあらすじと人の感想だけで満足してしまうことが多いです。
 逆に言うと、ぼくみたいなゲームプレイ環境を持ってない人にとっても、エッチグラビア誌的な価値が充分ありますよ、という評価もできますかね。

*1:反対に、この「苦悩できない」「主体的な痛さが無い」ことに居心地の悪さを感じる男の人も確かに居ると思う。そういう人は妹萌えや鬼畜に立ち戻りやすい