『ふたりはプリキュア』第42話「二人はひとつ!なぎさとほのか最強の絆」
期待値が100あるとするとそれには届かないものの、良く出来たフィルムになっていました。演出家によって露骨にクォリティが変わってしまうのはどうかと思うんですけど、東映のシステム的にはしょうがない所ですかね。アクションも、見得切りのポーズを多用したり(ヒーローものはこれが無いと物足りない)、空間を広く用いて動かしたり*1、格闘動作を小刻みに刻んだ演出(エアマスター的)もあり、作画も山田起生氏の個性が活きてて見応えは抜群。起生氏はもうプリキュアの看板作画になってると言っていいでしょう。
Aパートから戦闘が始まって、ほぼずっと変身したままでドラマが進行するのも珍しいし、変身後のプリキュア達が分断されるシチュエーションも今回が初めて。*2
本来こういう特殊なシチュエーションを繰り返し描かないと主人公達の絆というのは描けない筈なんですが*3、それが42話目になってやっと……というのが歯痒い所ではあります。
テーマ的には、番組の「ふたりじゃなきゃダメ」というテーゼに対するアンチテーゼ(「一人じゃ何もできない」)を示す回だったんでしょうが、解答としてはその場凌ぎという感じで、まだちょっと苦しい。折角イヤボーンで強くなったんだから、合体技を使わずに、レインボーブレスと格闘技だけで敵を追い返していたらまた違って見えたんですけどね。
でも「一番大切なもの」という問いからなぎさが導き出した答えが「自分の気持ち」だったのに対して、ほのかの内面が描写されない(漫画でいうと「“あぶく”が出ない」状態)のは正解。4クール目に入ってから、ほのかはなぎさ視点から見た客体として描かれる側面が強くなってきましたね。ほのかがなぎさのことをどう思っているかは視聴者の想像に任されているという。
「自分と相手が大事」のプリキュアに反して「自分だけが大事」の闇戦士、更には上司を裏切り可能な闇戦士に反して裏切り不可能だったダークファイブとの対比も発見できるわけで、コントラストを描く材料はとりあえず揃ってきた感じ。あとはどう料理するかですね。
- 余談
ところで「ほのかのことかーーーっ!」はわざとだよな、やっぱり。台詞を入れたのは西尾大介本人か? それとも羽原大介のシャレなのかしら。
ザケンナーの壁を砕いた跳び蹴りは覚悟の「大義」を連想してしまう。